豊島将之九段「粘り強く戦えた」 奇襲四間飛車で羽生九段撃破 王将戦挑戦者決定リーグ

2023年10月24日 04:45

芸能

豊島将之九段「粘り強く戦えた」 奇襲四間飛車で羽生九段撃破 王将戦挑戦者決定リーグ
羽生九段に勝利した豊島将之九段(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 将棋の第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は23日、東京都渋谷区の将棋会館で挑戦者決定リーグの1局を行い、後手の豊島将之九段(33)が羽生善治九段(53)を82手で下した。リーグ全6戦の半分を終え、2勝1敗で羽生と暫定トップに並んだ。
 対局開始から15分。豊島の14手目は飛車が左にスルスルと移動し、4二の位置で止まる。戦型は驚きの四間飛車だ。

 「相手の出方を見て、場合によって飛車を振る作戦でした」

 同じ戦法を採用したのはなんと七段時代の15年10月24日以来。JT杯で深浦康市九段との対戦時に見せたのが最後だ。しかも今局は角交換を保留したうえで四間飛車とする初のパターン。ガチガチの居飛車党で知られる豊島が放った渾身(こんしん)のチェンジアップだ。

 飛車を4筋に配置すれば、自王は右サイドでの駒組みとなる。当然、羽生からは9筋を激しく攻められ「(四間飛車は)あまりうまくいってないような気がした。途中までは自信がなかった」と言う。苦しい中盤戦を辛抱強く耐え、58手目[後]3四角で反撃の下地を築く。先手飛車による2筋の侵攻と差し違えるように62手目[後]6四銀と上がって飛車先を通し、72手目[後]5七歩成を実現。3四の角が74手目で8九馬と「昇進」し、見事なカウンターに成功した。

 「端を詰められた時は苦しかった。力戦で難しい将棋でしたが、粘り強く戦えたかと思います」。振り飛車そのものは6月2日の王座戦挑戦者決定トーナメントの対本田奎六段戦で見せていたものの、この時は三間飛車だった。角換わり、相掛かりといった居飛車のオーソドックスな戦い方に加え「持ち球」は確実に増えている。

 30代でも変化を恐れない豊島。「一局一局を精いっぱい指したいです」と勝負の後半戦を見据えていた。

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