豊島将之九段「粘り強く戦えた」 奇襲四間飛車で羽生九段撃破 王将戦挑戦者決定リーグ
2023年10月24日 04:45
芸能
「相手の出方を見て、場合によって飛車を振る作戦でした」
同じ戦法を採用したのはなんと七段時代の15年10月24日以来。JT杯で深浦康市九段との対戦時に見せたのが最後だ。しかも今局は角交換を保留したうえで四間飛車とする初のパターン。ガチガチの居飛車党で知られる豊島が放った渾身(こんしん)のチェンジアップだ。
飛車を4筋に配置すれば、自王は右サイドでの駒組みとなる。当然、羽生からは9筋を激しく攻められ「(四間飛車は)あまりうまくいってないような気がした。途中までは自信がなかった」と言う。苦しい中盤戦を辛抱強く耐え、58手目[後]3四角で反撃の下地を築く。先手飛車による2筋の侵攻と差し違えるように62手目[後]6四銀と上がって飛車先を通し、72手目[後]5七歩成を実現。3四の角が74手目で8九馬と「昇進」し、見事なカウンターに成功した。
「端を詰められた時は苦しかった。力戦で難しい将棋でしたが、粘り強く戦えたかと思います」。振り飛車そのものは6月2日の王座戦挑戦者決定トーナメントの対本田奎六段戦で見せていたものの、この時は三間飛車だった。角換わり、相掛かりといった居飛車のオーソドックスな戦い方に加え「持ち球」は確実に増えている。
30代でも変化を恐れない豊島。「一局一局を精いっぱい指したいです」と勝負の後半戦を見据えていた。