“藤井8冠”も超えた! 上野裕寿四段が史上最速棋戦優勝 阪神ファンで一押しは…

2023年10月31日 19:21

芸能

“藤井8冠”も超えた! 上野裕寿四段が史上最速棋戦優勝 阪神ファンで一押しは…
新人王戦を制して“1番”になり、阪神日本“一”も祈りながら人差し指をさてて撮影に応じる上野裕寿四段 Photo By スポニチ
 将棋の第54期新人王戦の決勝三番勝負第3局が31日、大阪市福島区の関西将棋会館で指され、上野裕寿四段(20)が藤本渚四段(18)を113手で破って優勝した。
 上野は10月1日付けでプロ棋士になったばかりで、これがまだ3局目。日本将棋連盟によるとデータにない古い対局などもあるため断言はできないが、これまでのデビューからの棋戦優勝最速記録は森内俊之九段(53)が1987年に新人王戦を制した時の15局目とみられるという。

 ちなみに全タイトルを保持する藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、棋聖含む8冠=ですらプロ棋士になっての初優勝は約1年5カ月後の朝日杯で、77局目。新人王獲得はデビュー2年目の111局目だった。

 プロとなる四段昇段前に三段枠から新人王戦に出場した上野は、竜王戦7番勝負で藤井に挑戦中の伊藤匠七段(21)ら実力者を破るなどして三番勝負に駒を進めていた。第1局に勝ち、第2局では現役最年少棋士の藤本に破れていたが、序盤から激しい攻め合いとなったこの日は苦しくなった終盤に粘り腰を発揮して大逆転。終局後は「ずっと苦しいと思っていた。最後は運がよかった」と安どしつつ、「まずは1つ結果を出せた。他の棋戦でも活躍したい」と今後の成長を誓った。

 “一流棋士への登竜門”とされる新人王戦の優勝者はタイトル保持者との非公式の記念対局が恒例。タイトル保持者が複数いる場合は新人王の希望などを聞き、調整するが今回は“藤井一択”となる。奨励会で自身が4級時に当時、三段だった藤井と奨励会のトーナメント大会で対局し、完敗した経験が一度あるという。今回はそれ以来の対戦が実現しそうだが「まずは自分の力をぶつけたい」と控えめに再戦を楽しみにしていた。

 兵庫県加古川市出身だが、報道陣との囲み取材では、熱狂的な阪神タイガースファンで知られる師匠の井上慶太九段(59)同様に自らもご当地球団びいきのトラ党であることを告白。「日本シリーズ?息抜きで(見ています)。きょうも(第3戦を見る)?はい」と、猛虎の今年の活躍が棋士としての自身にもいい刺激になっているとした。好きな選手としては佐藤輝内野手の名前を挙げ、「ホームランで流れを変えることができるから」と理由を明かした。

 この日、対戦した藤本も井上門下でこの日は同門対決。プロになったのは藤本が昨年10月1日で先だが上野が兄弟子の関係にあたる。対局を将棋会館内で見守っていた井上は「師匠冥利(みょうり)に尽きる。どちらも頑張れと思っていた。2人とも(将来的には)藤井さんと対戦するところまでいってほしい」と話した。
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