安井順平 「ブギウギ」辛島部長役 草なぎ剛との芝居は「ジャズっぽい感じ」

2023年11月07日 10:30

芸能

安井順平 「ブギウギ」辛島部長役 草なぎ剛との芝居は「ジャズっぽい感じ」
連続テレビ小説「ブギウギ」で辛島一平を演じる安井順平(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「ブキウギ」で、主人公の福来スズ子(趣里)が所属する「梅丸楽劇団(UGD)」の制作部長・辛島一平を演じる俳優の安井順平(49)がインタビューに応じ、共演者との芝居について語った。
 ──作曲家・羽鳥善一役の草なぎ剛さんの印象をお聞かせください。
 「初めてお会いする時、頭の中で『草なぎさんにあいさつ、草なぎさんにあいさつ』と考えていたら、『初めまして。辛島役の安井です』と言うところを間違って『初めまして。草なぎ役の安井です』と言ってしまったんです。それで草なぎさんが突っ込んでくれるのかと思ったら、普通に『どうも。草なぎです』と返されてしまって…。かみ合わない感じが面白かったです(笑)」

 ──草なぎさんはどんな感じの人ですか?
 「誰とでも分け隔てなくフラットに話してくれる人です。収録の合間に草なぎさんが好きなジーンズの話を僕が振ったら、いろんなブランドの話をしてくれて、スタッフさんから『そろそろお時間です』と言われても『あとね…』と話が止まりませんでした。そういう時の表情がキラキラしているんです。人を緊張させない何かがある人です」

 ──一緒に芝居をした印象はどうですか?
 「ジャズっぽい感じです。草なぎさんはリハーサルと本番で毎回、トーンやニュアンスを変えるんです。物語の流れに沿った崩し方をする。そうすると僕も、そう来るんだったらこう行く、みたいな芝居ができるから楽しい。僕はもともと芸人をやっていたので、急にぼけられた時に何かリアクションすることに慣れているんです。辛島部長が羽鳥先生に『先生!聞いているんですか?』『そんなこと言わないでくださいよ』みたいなことを言った時の草なぎさんの表情がふわっとしていて面白いです」

 ──草なぎさんとの会話で特に覚えていることはありますか?
 「僕が本番の大事なところでセリフをかんだことがあったんです。その時、草なぎさんが『僕、安井さんの芝居が凄くいいなと思っていて、褒めようと思っていたんですけど、今、かんだので褒めません』と言ったので、僕は『褒めてくださいよ』と返しました(笑)。草なぎさんが『安井さんの芝居が凄くいいなと思っていて』と言ってくれたのがうれしかったし、草なぎさんのユーモアを感じました」

 ──演出家・松永大星役の新納慎也さんの印象はどうですか?
 「所属事務所が同じですが初共演です。イケメン俳優でミュージカルもやっているのでスターの感じの人なのかなと思って、どちらかと言えば苦手なジャンルの人を想像していたんですが、会って話したら、関西出身で、気さくで、よくしゃべる。1発で好きになりました。お芝居もやりやすい。演劇畑の人なので演劇的な会話がスムーズにできる。僕が考える芝居のニュアンスを一言二言で理解してくれます。仲良くなって2人でお好み焼を食べながら深い話もしました。新納さんはぶっ飛んだ演出家の役を自分が演じることに不安もあったようですが、僕は新納さんがあの役をやるから面白いと思うんです。だから、『新納さんが松永役をやって正解』と伝えました」

 ──ヒロイン・福来スズ子役の趣里さんの印象はどうですか?
 「実は同じ映画に出演したことがあるんですが、その時は会っていないので、ほぼ初共演です。まず現場で初めて芝居を見て好きになって、しゃべってみて人柄も好きになりました。気さくで明るくて裏表がない。二言三言交わしただけですぐに芝居のコアな話を普通にできるようになりました。モニターで趣里ちゃんの芝居を見て『この表情は、一瞬何か言おうと思ったけれどやっぱりやめたという表現でしょう?』と聞くと趣里ちゃんは『そうなんです。分かりましたか』と答えてくれて、そういう会話をしながら仲良くなりました」

 ──趣里さんの芝居の印象はどうですか?
 「僕はどうしても受けの芝居を見てしまいます。自分から何か出す芝居より難しいからです。趣里ちゃんは受けの芝居が上手です。受けの芝居が上手だということは芝居が上手だということだと僕は思います。自然に会話をして相手からのボールをきちんと受けてしっかり返すことができる。草なぎさんや新納さんのセリフや表情をきっちり受け取った上で、自分が伝えるべきことを分かりやすく、しかもコミカルに伝えている。技術の高さの表れだと思います」

 ──趣里さんの座長ぶりはどうですか?
 「『安井さんがいてくれて本当に助かりました』と言われてうれしかったです(笑)。僕も趣里ちゃんがいてくれたから楽しくできた。彼女は地に足がついています。ふわふわしていない。苦労人なんだと思います。今後、うちの劇団(イキウメ)に出ていただきたいと熱烈に思っていて、そのことを本人に伝えました。僕は今回の共演で趣里ちゃんのファンになりました」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽などを担当。
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