X　JAPAN解散の前年　緊張感漂う楽屋を和ませたHEATHさんの優しいボケ

　【悼む】X　JAPAN解散前年の1996年。「Forever　Love」のPVがロサンゼルスで撮影され、独占取材した。グループの状態は良いとは言えず、現場の空気はかなり微妙。その後脱退するToshlが孤立している様子が伝わってきた。同じ楽屋だったのがHEATHさんだ。 　待ち時間。2歳上のToshlが70年代、80年代の洋楽ロックについて解説しながら場をつなぐ。最初こそ黙って聞いていたHEATHさんが次第に熱く語る。Toshlが「いろいろ知っているね～」と驚くと、年下のベーシストは「兄貴がToshlさんより少し年上で同じようにロック話を聞かされてばかりだったんで。だから今の話、申し訳ないけど、ほとんど知っていました」と笑いを誘った。

　関東出身のメンバーで結成したXの中ではただ一人の関西出身。最年少で、ビジュアル系ロック界の最高峰に君臨するバンドに途中加入した。プレッシャーはなかったのか質問した。すると「何言うてんですか！」と即答。そして笑いながら「このバンドに入ってから最初のライブが東京ドーム。最初に出たテレビ番組が紅白歌合戦ですよ。そんなバンドマンおりますか？自分でも理解できませんわ」と続け、ボケた。緊張感が漂う当時のXとは対照的で、場を和ませることを欠かさない人だった。（編集局次長・山崎　智彦）