伊原六花 「ブギウギ」でシコふんじゃった!
2023年11月17日 08:15
芸能
朝ドラに他の映像作品を連想させるようなシーンが盛り込まれるのは異例だ。
制作統括の福岡利武氏は「確かに、珍しいですね。普通はやらないと思います。あのシーンは足立紳さんが脚本に書いたものです。きっと足立さんはドラマを見ていたのでしょう。伊原さんが素晴らしい四股を踏む人なので、それをやりたいんだなあ…と思いました。どうしようか?ということになりましたが、吾郎さんが相撲をやっていた設定だったし、僕も面白いと思ったので、やりましょう!となりました」と明かす。
あのシーンで、伊原が演じる秋山は、洋服にまわしをつけた姿で登場。隈本が演じる吾郎と向き合うと、ドラマ「シコふんじゃった!」で見せたのと同様の美しい四股を披露し、趣里が演じるスズ子らを驚かせた。
伊原は「シコふんじゃった!」撮影前に約2カ月間、相撲の基礎の四股、すり足、股割り、鉄砲を練習。四股は練習のたびに100回踏んでおり、クランクイン後もスタッフ、出演者らで四股を踏んでから撮影に臨むほどの力の入れようだった。そこで培われた特技が今回の朝ドラに生かされたわけだ。
あのシーンで秋山は吾郎に寄り切られそうになるが、最後は豪快な投げで勝利。その後、自分の子供と相撲を取ることが吾郎の夢だったという設定が明かされた。
福岡氏は「最初の脚本では吾郎さんが勝つことになっていました。でも、僕は秋山が勝った方が爽快感があるし、面白いと思って『これは秋山が勝ちますよね!?』と話したところ『そうですね。秋山が勝った方がいいですね!』となりました。秋山は大阪に帰りますが、負けたという思いで帰るより負けていないという思いで帰る方が彼女らしい。そんなシーンになればいいと思いました」と話す。
伊原がこの作品に出演したのは、ヒロイン役のオーディションに参加したことがきっかけ。ショーの質向上のためには先輩にも物おじせずに意見する理想家の秋山という人物を魅力的に演じた。
福岡氏は「伊原さんは感情がしっかり伝わる芝居をされる方です。人に強いことを言ってしまう秋山の力の入った感じもとてもうまく表現してくれました。チャーミングで、演技の幅が広く、身体表現も得意で、改めて素晴らしい方だと思いました」と称賛する。
第35回で秋山はスズ子のもとを離れ大阪に戻ってしまった。今後またこのドラマに登場するのかどうか気になるところだ。
福岡氏は「これで最後ではありません。ポイント、ポイントで楽しみにしていただきたいです」と話した。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽などを担当。