「愛は勝つ」KANさんの命奪った「メッケル憩室がん」とは 日本では数十例しか症例ない非常に珍しいがん
2023年11月17日 10:43
芸能
メッケル憩室とは、小腸の壁の一部が袋状になって外側に突き出たもの。消化管に関連した形態の異常としては最も頻度の高いものであり、2%前後の人が持っていると言われている。その多くは無症状だが、約20%の人に症状が発生し、腹痛や出血を引き起こす。また、出血以外に、腸閉塞、メッケル憩室炎、穿孔といった形で発症することがある。これらの場合は、嘔吐や腹痛、発熱などの症状が現れる。
初診の段階で診断することは容易ではないが、メッケル憩室を疑うべき臨床経過がある。乳児で腸重積を認めることは多いが、多くの場合は1回の発症のみ。一方、メッケル憩室でも腸重積を引き起こすことがあり、典型的な腸重積と異なり発症年齢が高く、繰り返すことがある。こうした非典型的な腸重積を見たときには、メッケル憩室を疑う必要がある。そのほか、虫垂炎と似たような症状を現すことも。
治療は手術が基本。ときに周辺の小腸にも影響がみられることもあるため、周辺組織に対しての手術介入を行うことがある。炎症や出血による影響がメッケル憩室のみに限るようであれば切除。小腸にも影響が起きているときには、腸管切除・吻合術が必要になることもある。
メッケル憩室を持つ人が何らかの合併症を発症する生涯リスクは約4~6%。15~30%の人で胃腸出血、腹膜炎、腸閉塞が発生する可能性がある。全ての合併症の6・4%のみが外科的治療を必要とし、未治療のメッケル憩室の死亡率は2・5~15%とされている。