TBS社長 旧ジャニへの対応めぐる調査報告書公表で見解「提言を大変重く受け止めております」

2023年11月29日 15:33

芸能

 TBSの佐々木卓社長が29日、東京・赤坂の同局で定例社長会見を行い、旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.)創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題の調査報告書を公表したことに見解を示した。
 佐々木社長は「この度の特別調査チームの調査結果の提言を大変重く受け止めております」とし、「性加害を今年まで報道しなかったこと。そして、エンタテイメント関係者の間の噂話だと思って事実の確認を怠ったこと。いずれの私たちの人権意識(の低さを)深く猛省しているところです」とコメントした。

 今回の提言では、調査報告は多岐にわたった。「編成・制作を中心としたTBSとジャニーズ事務所の関係では、事務所が成長するにしたがって、事務所への遠慮や気遣いが次第に強まり、特別な配慮までございました。報告書では“特別な配慮があった”当時に調査や再発防止の措置も取らなかったと、厳しく批判されております」と見解。

 報道部門の対応については「調査では、2003年と2004年の性加害報道に関する司法判断、これを報道しなかった理由について事務所への配慮はなかったと判断。しかし、当時の男性から男性への性加害に対する問題意識の低さ、週刊誌報道を軽視する風潮が指摘されていました。今年に入り、性加害報道があった際も中堅、若手の記者がすぐに取材に向けて動き出し、ニュースでも報道したが、局内では逡巡する動きもあった」と明かした。

 このような調査結果を受け、外部委員の弁護士からは「9つの提言を受けました」とし、その提言について「社長からのトップメッセージの発信」「ニュースが不当な干渉や圧力を受けない、ニュース編集権の独立性に関して公平、公正、正確な情報発信の検証を目的とした有識者機関の設置」「調査報道力への強化への方策」「社員の人権意識の向上と、公平、公正、正確な情報発信の全社的に考える教育、研修の実施」「取引先の人権問題の改善に基づく人権デューデリジェンスの実施とそれに関連するエンタテイメント業界の働きかけ」と説明。

 これらを受け、28日に社内に対策チームを設置したことを公表。佐々木社長は「今回の調査結果を教訓として、被害者の方々の苦しみをグループ全体で心に刻み、人権尊重の意識を高めていきたい。報道部門で働く職員だけでなく、全社員が公共の電波を扱う報道機関のグループ会社の一員として、その自覚ももって行動する。公平、公正、正確な情報発信を徹底してまいりたい」「この提言を糧としてより人権意識の高い組織になっていく」などと力を込めた。

 TBSホールディングスは22日、TBSとTBSラジオが合同で、ジャニー喜多川氏による性加害の報道を巡る社内の対応や旧ジャニーズ事務所との関係を幅広く検証する全社的な調査を実施したことを公表。26日に公式サイトで「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査委員会による報告書」を公表した。

 報告書には性加害問題を発端に「メディアの沈黙」が指摘される中、同局は「報道特集」など検証番組や取材の動きと前後して「人権デュー・ディリジェンスを長期にわたり怠ってきた」と自省。再発防止策を策定して公表することが重要として、外部委員を含めた特別調査委員会を設置。44ページにわたる報告書では「調査の概要」「事実関係と背景」「TBSとジャニーズ事務所の関係」「外部委員から『再発防止のための提言」の4章から構成。ヒアリングによる証言などを交えて検証した。

 今回の一連の報道に関し、報道幹部は「編成局などジャニーズ事務所と向き合う部署との関係が念頭にあったのは明らかで、一定の忖度があったと言われても否定できない」と証言。ヒアリングに応じた記者の多くがジャニーズ関連報道をめぐる「『社内調整の困難さ』を口にしている」とも報告している。
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