宝塚歌劇団 宝塚大劇場で雪組公演再開、宙組所属の劇団員転落死問題で遺族との溝埋まらぬまま

2023年12月01日 13:16

芸能

宝塚歌劇団 宝塚大劇場で雪組公演再開、宙組所属の劇団員転落死問題で遺族との溝埋まらぬまま
宝塚大劇場 Photo By スポニチ
 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)は1日、女性劇団員(25)が急死した問題で公演を中止していた宝塚大劇場での公演を再開させた。再開されたのは、雪組公演「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」「フローズン・ホリデイ」で、当初は11月10日から開始予定だった。一方、宙組の東京宝塚劇場での公演は14日まで中止するとしている。
 歌劇団を巡っては、宙組に所属する劇団員の女性が9月30日、宝塚市の自宅マンション敷地内で転落死。兵庫県警は、女性が自殺した可能性が高いとみて捜査している。歌劇団側は、外部弁護士による調査の結果、女性が長時間労働などによる強い心理的負荷がかかっていたことは認めたものの、いじめやパワハラについては否定した。上級生からヘアアイロンでやけどをさせられたという遺族側の主張については、劇団診療所から「ヘアアイロンのやけどはよくあること」などと報告を受け、やけどをさせられたという客観的証拠もないため「事実であるかを判断することは困難」とした。遺族側がヘアアイロンの件で再検証を求めていることを問われた際、12月1日に新理事長に就任予定の村上浩爾取締役(56)は「証拠となるものをお見せいただくようにお願いしたい」と答えた。ヒアリングは宙組生、OG、役員らに実施。66人いる宙組生のうち、4人は聞き取りを辞退。その理由は「差し控える」とした。

 一方、遺族側は歌劇団側の調査に対し、あらためて過重労働に加え上級生によるパワハラを主張し、謝罪と補償を求めた。反論会見で、再検証を求めた遺族の代理人弁護士は「失当(不当)であり、劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」と断罪し、中でも、女性が上級生からへアアイロンを額に当てられやけどした問題について強く反論。ヒアリングに応じた女性の母親は、やけど当日の女性の額を「3センチも皮膚がめくれあがっている状態」と証言した。

 歌劇団側と遺族側は11月24日に面談。歌劇団は取材に「しかるべき立場の人間が面談いたしましたが、詳細につきましては差し控えます」としていたが、遺族側弁護士が同27日に報道関係各社にファクスを送信し、阪急・劇団側に過重労働とパワハラの事実を認め、遺族に謝罪、被害補償を求めた上で、被災者に対するパワハラが否定されたままで、本件につき合意解決することはありえないとした。歌劇団は同28日、公式サイトを通じ、遺族側と面談したことを報告し「大変重大なことと受け止めている」とする声明を発表した。

 また、タカラジェンヌの家族やOGらの証言で、歌劇団内部の理不尽なルールや過酷な上下関係が明らかになる中、11月22日に西宮労基署が立ち入り調査。歌劇団は2年前にも、演出助手の休日労働などに関し是正勧告を受けていた。
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