流行語大賞「アレ」 阪神・岡田監督「もう少しでたどり着くという意味が加味されている」

2023年12月02日 05:30

芸能

流行語大賞「アレ」 阪神・岡田監督「もう少しでたどり着くという意味が加味されている」
阪神・岡田監督 Photo By スポニチ
 今年話題になった言葉に贈られる「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」が1日に都内で発表され、年間大賞に「アレ(A.R.E.)」が選ばれた。生みの親の阪神・岡田彰布監督(66)が18年ぶりリーグ優勝と38年ぶり日本一に導き、優勝を意味する合言葉を日本中に浸透させたことが評価された。21年「リアル二刀流/ショータイム」、22年「村神様」に続き、野球界発の言葉が3年連続で栄冠に輝いた。
 世間に与えたインパクトが大きかった証拠だ。岡田監督が生み出した冗談のような言葉が23年の新語・流行語年間大賞に選ばれた。六甲おろしのメロディーに乗って舞台に登場。受賞インタビューで驚きを隠さなかった。

 「勝利監督インタビューよりうれしいですよ。このような素晴らしい賞をいただき、本当に1年間頑張った、そういう意味でうれしく思います」

 就任時に掲げた優勝を意味する合言葉「アレ」が、関西的なノリでチームスローガン「A.R.E.」になってより浸透した。リーグ制覇と日本一で拍車がかかり、競技と関西という地域の枠を飛び越えて広まった。もとをたどれば、オリックス監督時代の10年に使った言葉。交流戦優勝の重圧を取り除き、結果、タイトルに導いた。タテジマを着た今年、再活用をした理由はプレッシャー緩和以外にもあった。

 「“コレ”だと手が届く。“アチラ”だと遠い感じがする。タイガースはこの3、4年、2位、3位を行ったり来たり。“アレ”というのはもう少しでたどり着くという意味が加味されている」

 「A.R.E.」は球団案を妻・陽子さんがアレンジして完成。特にR=リスペクトが好評だった。「その言葉を入れた時に、よっさん(85年日本一の吉田義男監督)が最初に言うてくれたんよ。OBとしてはうれしかったんやろな」。来年1月1日からは座右の銘「道一筋」を「球道一筋」に変えることも明かした。

 「2004年に監督になった時に村山さんの座右の銘をもらおうと。でも、監督1年目で全部の文字をもらうのは失礼なので“道一筋”でスタートしました。日本一になったら、上に“球”を付けようと。球道というのは、王の道を求めるということなので、頂点を取れば、その字を付けようと思っていました。まあ、興奮で忘れていたので、まだ道一筋って(色紙に)書いてますけど」

 19年前に抱いた思いを成就させ、次に挑むのは球団初の2連覇。合言葉にも候補がある。「アレンパ(アレ+連覇)はなかなかいいですね。シーズンが始まるともっともっと浸透すると思います」。流行語の連覇も夢ではない!?
(倉世古 洋平)

 ▽岡田監督の「アレ」 初出はオリックス監督時代の10年。優勝の懸かった交流戦で優勝経験のない選手に意識させないように期間中は「優勝」を「アレ」と言い換え、6月13日の決定まで封印した。22年オフに阪神監督に復帰。10月24日の秋季練習初日で1日限りの「優勝宣言」をした上で、翌25日からは「アレ」を徹底。23年スローガンでは「Aim!(目標)Respect!(敬意)Empower!(パワーアップ)」の頭文字で「A.R.E.」と趣向を凝らした。

 ○…過去の阪神関連では、球団初の日本一に輝いた85年(第2回)に熱狂的なファンを表現した「トラキチ」が流行語部門・銀賞に選ばれた。一転して9年ぶり最下位に沈んだ87年(第4回)は読売テレビの辛坊治郎、森たけし両アナウンサーが番組内で不振を嘆いた「なんぎやなぁ」が流行語部門・銀賞。18年ぶりリーグ優勝の03年(第20回)は星野仙一監督の「勝ちたいんや!」がトップテン入りした。

 ▽ユーキャン新語・流行語大賞 その年に発生した言葉の中で、軽妙に世相を突いた表現とニュアンスで大衆をにぎわした人物や団体を顕彰する賞。1984年に始まり、読者審査委員のアンケートを参考に「現代用語の基礎知識」(自由国民社)編集部が毎年11月上旬、30のノミネート語を発表。12月上旬に選考委員会がトップテンと年間大賞を選出。当初は新語、流行語部門に分かれ、それぞれ金賞がトップ。91年から年間大賞を創設した。
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