元NHK・磯村尚徳さん死去 94歳 「読む」から「語る」ニュースへと進化させた「ミスターNHK」

2023年12月14日 05:30

芸能

元NHK・磯村尚徳さん死去 94歳 「読む」から「語る」ニュースへと進化させた「ミスターNHK」
磯村尚徳さん Photo By スポニチ
 NHKの報道番組「ニュースセンター9時」の初代キャスターを務めた磯村尚徳(いそむら・ひさのり)さんが6日、骨髄異形成症候群のため都内のホスピスで死去した。94歳。東京都出身。
 学習院大卒業後の1953年、NHKに記者として入局。報道局、中東やパリの特派員、ワシントン支局長などを歴任した。外信部長を経て、報道局副主幹に就いた。

 74年4月に始まったのが平日午後9時の報道番組「ニュースセンター9時」。ゴールデン帯の午後9時台に大型報道番組を編成するのは異例で、磯村さんは特派員として取材やリポート経験も豊富にあることから初代キャスターに起用された。

 行ったのは報道番組の改革だった。当時のニュースは、記者が書いた原稿をアナウンサーが読み上げるという形が主流。その時代に、自分の言葉でニュースを伝えるキャスターの元祖として活躍し「読む」から「語る」ニュースへと進化させた。「ちょっとキザですが…」などの枕ことばを使い、分かりやすい解説をする姿勢が好評で「ミスターNHK」と親しまれた。ファッションにも注目が集まり、視聴率も上昇。後の報道番組に多大な影響を与え、久米宏氏、池上彰氏といった後進も生まれた。

 報道局長などを務めた後に91年に退局すると、自民党などからの要請を受けて同年の東京都知事選に出馬。銭湯で高齢者の背中を流すパフォーマンスで注目を集めるも、現職の鈴木俊一氏に敗れた。その後は外交評論家として活動する傍ら、パリ日本文化会館の初代館長を務めた。98年には長野冬季五輪開会式の総合司会を務め、得意のフランス語も担当した。


 ≪都知事選に出馬≫
 ▽91年の都知事選 当時80歳の高齢で3選の現職鈴木氏の擁立を巡り、自民党都連と党本部の意見が対立。公示前にはアントニオ猪木さんが出馬表明をし、一転断念するなど、混迷を極めた。自民党本部は公明党などとともに磯村さんを擁立。ロック歌手の内田裕也さんら計16人が立候補した。鈴木氏が次点の磯村さんに80万票以上の差をつけて4選を果たした。

 磯村 尚徳(いそむら・ひさのり)1929年(昭4)8月9日生まれ、東京都出身。学習院大政経学部卒。53年にNHKに入局し、74年からニュースセンター9時の編集長兼キャスターを担当。フランス語が堪能で、97~05年にパリ日本文化会館の館長を務めた。著書に「ちょっとキザですが」「しなやかなフランス人」など。
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