【落合×ジブリ鈴木敏夫 旧友対談】大人気映画「ナウシカ」の誕生秘話 「偶然が重なった」経緯とは

2023年12月22日 17:05

芸能

【落合×ジブリ鈴木敏夫 旧友対談】大人気映画「ナウシカ」の誕生秘話 「偶然が重なった」経緯とは
落合博満氏と対談したスタジオジブリの鈴木敏夫氏 Photo By スポニチ
 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が22日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。好評対談企画「博満の部屋」第5回目として、株式会社スタジオジブリ代表取締役議長で数々のジブリ映画プロデューサーとして活躍する鈴木敏夫さん(75)をゲストに招いて対談を行った。
 鈴木さんは、宮崎駿監督の映画「ルパン三世 カリオストロの城」をサポートし、信頼を勝ち取ったが、映画の興行収入では大赤字。すると同監督は、「俺、やっぱり才能ないからやめる」と宣言。「カリオストロの直後ですよ。“お客来なかったし”って言って。それで、本当にやめちゃうんですよ、会社。“足洗うから”って言って」と一からの出直しを誓うのだった。

 その後について、同監督は「絵本を描きたい」と出版社に勤める鈴木さんを頼りに構想を話したが、「僕は“ダメだ”って言ったんですよ、それ。無理って」と拒否。収入的には厳しい選択になると感じ、鈴木さんが提案したのが「アニメージュで漫画だったら連載できますよ。それが『ナウシカ』」と振り返った。

 漫画を描こう、という思いは心に芽生えたが、何を題材にするかは、イメージがわかない。鈴木さんは「大きな話やりませんか?」と呼びかけ、「例えば何?」と言う宮崎監督に「深く考えたわけじゃないですよ。で、“ギリシャ神話”って言ったんですよ。大きそうでしょう?そしたら宮さんがね、いきなり“ナウシカ”って言ったんですよ」。同監督のインスピレーション。ギリシャ神話に登場する「ナウシカ」の名前がポンと口から出てきた。「その話が好きだったみたいなんですよ。僕は“ナウシカ”って言われても全然分からなかった。でも、彼はね“それだったら描ける”って言い出したんですよ」。頭の中でイメージが膨らんだ。

 映画化まで進んだ「風の谷のナウシカ」だが、壁はたくさんにあった。「漫画本は本当に売れなかったです。7万部出して5万しか売れなくて」。それでも映画化を目指し、鈴木さんは同監督に構想を伝えたが、当初は拒否。「真面目な男ですからね。“映画を作るために漫画をやるっていうのは、漫画に対して失礼だ”」と首を縦に振らなかった。

 さらに、周囲も否定的。原作が売れていないのに、映画なんかできるか、という意見が大半を占めた。そこで鈴木さんは「仲間増やさないと」と考えた。「当時の出版社で、仲間を増やす1番良い方法が1個だけあったんですよ。博打なんですよね」とギャンブル好き同士で距離を縮め、宣伝部の部長と仲良くなる。すると、ほどなく「風の谷のナウシカ」の映画化が決定した。

 どうやら、宣伝部長が広告代理店を回り、営業すると、偶然にも営業先で「なんと宮崎駿の弟だった」と同監督の実弟とつながる縁が。これには落合氏も「はぁ~」と感嘆の声を上げた。「こんな偶然が重なったんですよ」と、そこからはとんとん拍子で話が進んだ。

 当時はまだアニメ映画は主流ではなかった。だが、「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」が世の中に出てきて、流れができたことも要因に。「そういうタイミングってあるんですね。それと弟の存在が大きかったですよね」と振り返っていた。
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