キダ・タローが坂田利夫さん追悼 「アホの坂田」楽曲誕生秘話明かす「作曲家人生の中で特別印象深い曲」

2023年12月31日 11:48

芸能

キダ・タローが坂田利夫さん追悼 「アホの坂田」楽曲誕生秘話明かす「作曲家人生の中で特別印象深い曲」
キダ・タロー Photo By スポニチ
 漫才コンビ「コメディNo.1」などで活躍したお笑い芸人・坂田利夫(さかた・としお、本名・地神利夫=じがみ・としお)さんが29日、老衰のため大阪市内で死去した。82歳。大阪市出身。
 訃報を受け、♪アホ アホ アホの坂田…でおなじみ、坂田さんのテーマ曲「アホの坂田」(72年)の作曲・編曲を手掛けた音楽家でタレントのキダ・タロー(93)が31日、スポニチの取材に応じ、坂田さんへの思いと名曲誕生秘話を語った。

 キダは、同曲について「作曲家人生の中でも特別に印象深い曲」と語る。デビュー当初の坂田さんを関西テレビのお笑い番組「爆笑寄席」で見ていたキダ。「コメディNo.1」は「横山やすし・西川きよし」とともに番組の常連だった。漫才中に「アホと呼んで」などと言う坂田さんの芸風に衝撃を受けたという。

 「コメディアンとして、ばかばかしさというのは当たり前の精神でしょうが、時代的にもアホと自ら言う人はなかなかおらん。少なくとも僕は初めて見て、なんか感動した。オモロイ人やなあ、と」と回想。そんな坂田さんへの楽曲提供を依頼された際には快諾した。

 作曲のヒントになったのは、キダがかつて進駐軍のバンドに所属した時の記憶。「メキシコ人の兵隊が5、6人居て、よく“メキシカン・ハット・ダンスを弾いてくれ”と言ってリズムを伝えてきた。演奏すると感激された」という。アホ、アホ、アホの坂田というフレーズと、その民謡のリズムが「すぐに結びついた」と当時のひらめきを今も鮮明に覚えていた。

 「アホの坂田」の前奏8小節にはメキシカン・ハット・ダンスのメロディーをそのまま使用。その後始まる歌部分は独自のメロディーをつけた。「自分で言うのも何ですけど、陰の名曲と言いますかね。異国の民謡で始まり、自分のメロディーをつくる。こんなやり方は初めてで最後です」。

 「かに道楽」などのCM曲から「ふるさとのはなしをしよう」(北原謙二)まで、手がけた楽曲は3000曲以上とも言われる“浪花のモーツァルト”こん身の1曲。コミカルかつ壮大なメロディーは坂田さんの登場に欠かせないものとなり、聴くだけで誰もが笑顔になるハッピーソングとして長く親しまれた。

 坂田さんからは会うたびに「おおきに」と礼を言われたというキダ。「芸人さんにはひねくれた方も多いけど、坂田さんは良い人。まっすぐな優しい人でした」と人柄を称えた。「しぶとく生きてくれると思ってたんですけどね、私より先に逝ってしまった。本当に残念です。もうちょっと頑張ってほしかった」と惜しみ、「“先行くで~”という優しい声が聞こえてくる気がします」と偲んだ。  
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