航空評論家 日航・海保機衝突に「航空機の事故というのは1つだけの不具合で事故にいたるのはまずない」

2024年01月03日 15:27

芸能

 元日本航空機長で航空評論家の小林宏之氏が3日、TBS系「ゴゴスマ~GO GO!smile~」にリモート出演。乗客乗員379人を乗せた日航機が、被災地へ救援物資を搬送する海上保安庁の航空機と羽田空港の滑走路で衝突し、炎上した事故に言及した。
 事故は2日午後5時47分ごろ発生。札幌発羽田行き日航516便エアバスA350と、海保の航空機ボンバルディアDHC8―300が衝突した。日航機の乗客乗員379人はいずれも脱出し、命に別条はなかった。海保機の男性乗員5人が死亡し、自力脱出した機長が負傷した。

 事故をめぐっては管制官が海保機に滑走路の侵入を許可していなかったという報道もある。

 小林氏は「正しいことは運輸安全委員会の事故調査を待たないといけないが」と慎重に前置きした上で「現時点で考えられるのは、やはり海保の聞き間違いがあったのではないかと思います。人間というのはいろんなプレッシャーがありますと注意力、確認するといった集中力が場合によっては削がれてしまうので、今、報道されてるのが事実とすれば海上保安庁の飛行機が聞き間違い、勘違いをして滑走路に侵入する許可、場合によっては離陸する許可と勘違いした可能性が考えられると思います」と述べた。

 誤侵入した場合、管制官から再度、指示があるかについては「管制官が気がつけば当然そういった指示もしていけるが、航空機の事故というのは1つだけの不具合で事故にいたるのはまずない。例えばの話ですが、海上保安機が聞き間違えても管制官が目で見ておかしいと思ったら、そこで滑走路から出るように指示するでしょうし、(海保の)パイロットも機長、副操縦士がいますので、管制官の指示があった場合、2人で確認する。そこでおかしいと思ったらもう一度確認する。こういったことが行われておれば、こういった事故がにはいたらなかった」とした。

 そして「いずれにしても確認するチャンスは管制官側、あるいは海保側にもあったのかなと思うが事情がよく分かりませんので今後、ボイスレコーダー、フライトレコーダー、国交省側が持っているコミュニケーションテープを総合的に突き合わせて、なぜこういったことが起きてしまったのか究明されると思う」と語った。

 また、着陸する日航機が滑走路にいる海保機を見えなかったかどうかについても「見えたら当然、機長は危険を感じてゴーアラウンド、着陸をやり直したと思いますが、この時間帯は日没から時間がたって夜になります。一般のエアラインが海保機は小さい飛行機ですし、滑走路に正対していますので、縦にしか見えない。横になっていれば目に入った可能性はがあるが、JALのパイロットは海上保安庁の飛行機は視認できなかった可能性がある。視認できてたら着陸を当然、やり直してたと思う」とした。

 そして「何度も申し上げますけど、不都合なことがいくつか重なってしまって、どこかで事故に至るチェーンが切れればよかったけど、切れなくて事故に至ってしまった。事故に至るまでに止めるゲートはいくつかあった」と指摘し「航空機の事故はこいうことが重なってしまって結局、事故に至ってしまうのが、今までの事例。(日航機の)パイロットがなぜ見えなかった?ということですけど、海保機の飛行機を確認、視認していたら当然、着陸を断念してゴーアラウンドしてた」と1つのミスでなくいくつかが重なったことが事故につながったと述べた。
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