八代さんがデビュー前に立った熊本県八代市にあるキャバレー「ニュー白馬」の池田義信社長(74)は、同じ中学に通った故人を「亜紀ちゃんは地元思いの人だった」と寂しそうに語った。八代さんは15歳の時に“18歳”と偽り同店で生バンドの演奏に合わせ歌唱。父親に知られるまでのわずか3、4日だったが、店のママ・西田フサエさん(97)は「彼女が歌うと、お客さんがフロアでダンスを始めた。必ずアンコールがかかった」と大歌手の片りんを見せていたことを振り返る。
2015年には「ここが私の出発点」とロバート・ジョンソンの「スイート・ホーム・シカゴ」を、熊本の情景を盛り込んだ歌詞に替え「スイート・ホーム・クマモト」として発表。「白馬は聖地さ」と歌うミュージックビデオは、現存する最後のキャバレーと言われる同店で撮影した。池田社長は「いつも地元を思ってくれていてうれしかった。唯一無二の歌声を持っていたけれど、天然なところがあって可愛らしくて。今年のマラソン大会には戻ってくるかな、絵画展も開いてくれるかなと再会を楽しみにしていました」と肩を落とした。