上田正樹 音楽への好奇心、75歳の今も変わらず 18歳、医者を目指していた自分を変えた運命の出会い
2024年09月20日 05:00
芸能
【だから元気！】著名人に健康や元気の秘訣（ひけつ）を語ってもらう企画「だから元気！」。今回は「悲しい色やね」「ミスター・ピアノマン」などのヒット曲で知られるシンガー・ソングライターの上田正樹さん（75）です。歌手生活50年を超えてもステージに立ち続けることができているのは、音楽に出合った頃と変わらない好奇心があったからでした。（構成・高原 俊太）
18歳の時に友人に誘われて英国のロックバンド「アニマルズ」のライブに行ってから、75歳になっても歌い続けているなんて想像していなかったよね。おやじが医者で、自分も医者になるものだと思って、当たり前のように東大医学部を目指して受験勉強していたけど、彼らの音楽を生で感じて「俺は音楽をやるんだ！」って全身の細胞が震える感じは今も鮮明に覚えてる。
それから50年以上続けてきたけど、音楽に対して「ドキドキ」とする感覚は当時からずっと変わらない。この年齢になっても音楽について四六時中考え、ギターやピアノを前にした時には心が震えるような感覚というか、少年のような好奇心があることは幸せなことだし、それがあるからここまで大した病気もしないでやってこられたんだろうね。
それでも健康に気を使っているかと言われたら、そうではないんだよね。普段から行きつけのバーでウイスキーの水割りを4、5杯飲むんだけど、気分が良くなっちゃうとそれ以上飲んじゃう。生まれつき肝臓が丈夫らしくて、定期健診では医者から「肝臓の数値がとてもいい」と褒められる。そのせいでついつい気を良くして飲み過ぎちゃう。
それに今も1日10本ぐらいタバコを吸ってる。朝ご飯を食べた後とか、お酒を飲んでいる時にね。音楽を作る時の息抜きに吸うことはないし、そうやってタバコにすがろうという思いはないね。今吸っているのは「ラーク」と「メビウス」。かかりつけの医者からは「吸うのはいいけど、同じタバコは吸わない方がいい」って勧められて、それからは常に銘柄もタールも違うタバコを何種類か用意して。こんなに体に気を使ってないし生活は不規則だけど、夢中になれるものがあったからここまで続けることができたんだと、胸を張って思えるね。
そんな僕だけど、音楽に対しては「真っ正面からずっと向き合ってきた」と自信を持って言える。ずっと出口のないトンネルを進み続けているような感じだったけど、ようやくR＆Bやブルースを体が覚えてきた。本当に50歳になるまで音楽に対して不安だらけで悩んでいたけど、「キング・オブ・ブルース」といわれるB.B.キングから「お前の音楽は新しい感じがするからそのままでいいんだ」と言われてうれしかった。その言葉のおかげもあって続けることができている。
目指しているのは100点満点、上田正樹の音楽の完成形。その理想のひとつが、「世界中の人がほほ笑みながら歌う音楽を作る」というもの。74年に「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」としてデビューした時はブームで終わってしまったから、文化になるものを作りたいと思った。音楽は国境を超えて伝わるし、それを作る自信がちょっとある。世界に80億以上の人がいて、その半分の40億人には届けたいね。
いつまで音楽を続けるなんて聞かれるけど、88歳までかなって思うね。末広がりの数字だし、そんなふうに僕の作った音楽が世界に届けばいいなと思います。
≪27日に盟友・永井“ホトケ”隆らとライブ≫27日に東京・渋谷のさくらホールでバンド編成によるライブを行う。上田は「ライブに向けて準備している時が一番ワクワクしている」と目を輝かせた。スペシャルゲストとして、日本のブルースバンドの草分け的存在「ウエスト・ロード・ブルース・バンド」からボーカルの永井“ホトケ”隆（73）とギターの山岸潤史（71）が参加。「昔はライバルだったけど、今では盟友」という大切な存在。上田を含めた3人とも70歳オーバーとあって、「生存確認を兼ねて、年に一度は集まると決めているんだよね」と冗談めかして笑った。当日は日英問わずさまざまなR＆Bやブルースの曲を披露する予定で「来た人に“また明日から頑張ろう”と思ってもらえるライブにしますよ」と熱い言葉を残した。
◇上田 正樹（うえだ・まさき）1949年（昭24）7月7日生まれ、京都府出身の75歳。72年12月に「金色の太陽が燃える朝に」でデビュー。74年にバンド「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」を結成し、76年に解散。82年にリリースした「悲しい色やね」が大ヒットし、TBS音楽番組「ザ・ベスト10」で7週間連続トップテンにランクインを果たした。
それから50年以上続けてきたけど、音楽に対して「ドキドキ」とする感覚は当時からずっと変わらない。この年齢になっても音楽について四六時中考え、ギターやピアノを前にした時には心が震えるような感覚というか、少年のような好奇心があることは幸せなことだし、それがあるからここまで大した病気もしないでやってこられたんだろうね。
それでも健康に気を使っているかと言われたら、そうではないんだよね。普段から行きつけのバーでウイスキーの水割りを4、5杯飲むんだけど、気分が良くなっちゃうとそれ以上飲んじゃう。生まれつき肝臓が丈夫らしくて、定期健診では医者から「肝臓の数値がとてもいい」と褒められる。そのせいでついつい気を良くして飲み過ぎちゃう。
それに今も1日10本ぐらいタバコを吸ってる。朝ご飯を食べた後とか、お酒を飲んでいる時にね。音楽を作る時の息抜きに吸うことはないし、そうやってタバコにすがろうという思いはないね。今吸っているのは「ラーク」と「メビウス」。かかりつけの医者からは「吸うのはいいけど、同じタバコは吸わない方がいい」って勧められて、それからは常に銘柄もタールも違うタバコを何種類か用意して。こんなに体に気を使ってないし生活は不規則だけど、夢中になれるものがあったからここまで続けることができたんだと、胸を張って思えるね。
そんな僕だけど、音楽に対しては「真っ正面からずっと向き合ってきた」と自信を持って言える。ずっと出口のないトンネルを進み続けているような感じだったけど、ようやくR＆Bやブルースを体が覚えてきた。本当に50歳になるまで音楽に対して不安だらけで悩んでいたけど、「キング・オブ・ブルース」といわれるB.B.キングから「お前の音楽は新しい感じがするからそのままでいいんだ」と言われてうれしかった。その言葉のおかげもあって続けることができている。
目指しているのは100点満点、上田正樹の音楽の完成形。その理想のひとつが、「世界中の人がほほ笑みながら歌う音楽を作る」というもの。74年に「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」としてデビューした時はブームで終わってしまったから、文化になるものを作りたいと思った。音楽は国境を超えて伝わるし、それを作る自信がちょっとある。世界に80億以上の人がいて、その半分の40億人には届けたいね。
いつまで音楽を続けるなんて聞かれるけど、88歳までかなって思うね。末広がりの数字だし、そんなふうに僕の作った音楽が世界に届けばいいなと思います。
≪27日に盟友・永井“ホトケ”隆らとライブ≫27日に東京・渋谷のさくらホールでバンド編成によるライブを行う。上田は「ライブに向けて準備している時が一番ワクワクしている」と目を輝かせた。スペシャルゲストとして、日本のブルースバンドの草分け的存在「ウエスト・ロード・ブルース・バンド」からボーカルの永井“ホトケ”隆（73）とギターの山岸潤史（71）が参加。「昔はライバルだったけど、今では盟友」という大切な存在。上田を含めた3人とも70歳オーバーとあって、「生存確認を兼ねて、年に一度は集まると決めているんだよね」と冗談めかして笑った。当日は日英問わずさまざまなR＆Bやブルースの曲を披露する予定で「来た人に“また明日から頑張ろう”と思ってもらえるライブにしますよ」と熱い言葉を残した。
◇上田 正樹（うえだ・まさき）1949年（昭24）7月7日生まれ、京都府出身の75歳。72年12月に「金色の太陽が燃える朝に」でデビュー。74年にバンド「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」を結成し、76年に解散。82年にリリースした「悲しい色やね」が大ヒットし、TBS音楽番組「ザ・ベスト10」で7週間連続トップテンにランクインを果たした。
