NHKドラマP驚く 79歳・宮本信子の衰えぬ「記憶力」 「母の待つ里」方言の長セリフを「4カ月暗記」
2024年09月21日 08:01
芸能
演出は「NHKスペシャル」や「中国王朝シリーズ」などのドキュメンタリーで原作の浅田次郎氏と度々タッグを組んできた阿部修英氏。阿部氏にとって初のドラマ演出作となった。
日本を代表する俳優陣が名を連ねている豪華なキャスティングは、実は阿部氏と縁の深い面々だ。中井と佐々木は、ドキュメンタリーで阿部氏とともに海外ロケに同行した経験があり、松嶋は、阿部氏が手掛けた番組のナレーションを担当。過去に作品をつくり上げた息ぴったりの“チーム”が、再び集結した形だ。
そんな豪華俳優陣の中でひときわ存在感を放つのが、79歳の大ベテラン女優・宮本。宮本演じる「ちよ」は、松永徹(中井)、古賀夏生(松嶋)、室田精一(佐々木)の3人の“子供”に対し“母”として、全4話にフル出演して対峙する。
高城氏は、宮本の演技について「本っ当に凄いんです」と興奮気味に、目を輝かせて語る。「宮本さんが一番出演機会が多いので、セリフの量がダントツで多い」と明かし、さらに「遠野が舞台なので、セリフはすべて方言なのですが…実は、普通の東北弁ではなく、浅田次郎先生が創作した“浅田弁”なんです。だからちょっと、クセがある」と、ドラマでは東北弁をベースとしたオリジナルの方言を使用していると告白。「あの量のセリフを、標準語で覚えるのもかなり大変だと思うんですけど…一度も、つっかえているところを聞いたことないんです。セリフが飛んでしまったり、忘れたりしてしまうというようなところを、一度も見ませんでした」と、第一線で活躍し続ける大女優の矜持を垣間見たという。
本作の撮影は今年4月から1カ月間に渡り、岩手・遠野市で行った。高城氏は「宮本さんは、台本を“12月には欲しい”とおっしゃって。方言指導の先生と話し合って、撮影までの4カ月間、ずっと(オリジナル方言の)録音を聞き続けて挑んでくれました」と、宮本は多忙の合間を縫い、長い時間をかけてオリジナルの方言を身に沁み込ませた。作品に懸ける思いを受け、高城氏は「お年のことを考えると“信じられない”と、ほかの出演者さんもおっしゃっていました。本当に、凄いという言葉では表せられない。とんでもないことだと思うんです」と、言葉を尽くして称賛する。
宮本のこだわりは、実は演出面・美術面にも表れている。撮影セットを組んだ制作班は、物語を象徴する「ちよの家」を丁寧に表現。原作の浅田氏も感動するほど、小説の世界観を忠実に再現した。
宮本もセットの写真を見て感嘆したが、一言「イスを置いてほしいわ」とつぶやいたという。「ちよは86歳。年齢柄、多分いろいろな場所にイスを置いていると思うの。年寄りっていうのはね、いろんなところに腰をかけるようにしてるものなのよ」と、役と向き合い続けた宮本ならではの提案で、「ちよの家」は、よりリアリティーを増した。
「宮本さんのアドバイスで、いたるところにイスを置きました。それも、形や柄が統一されてない、ばらばらのイス。本当におばあちゃんの家に行ったような空間になりました」と高城氏。オリジナル方言によるセリフも、表情も、映像にも、並々ならぬこだわりが詰められている。高城氏は「ぜひ、細部にも注目して見ていただけると嬉しいです」と胸を張った。