「虎に翼」異色の最終回 寅子が主題歌締め!平成編は当初1週間「スタッフの皆さんと模索」脚本家語る裏側
2024年09月27日 08:15
芸能
向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田氏が脚本を担当した朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪(佐田)寅子(ともこ)の人生を紡いだ。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となった。
最終回は、寅子(伊藤沙莉)の没後15年、1999年(平成11年)。“イマジナリー寅子(幽霊の寅子)”が優未(川床明日香)や航一(岡田将生)ら最愛の家族たちを見守る“後日譚”。そして、時代は第129回(9月26日)に戻り、桂場(松山ケンイチ)との対話の続き。女性法曹の開拓者となった人生を振り返り「法とは何か」を語り合う…という展開。
当初の構想は「最終週をまるっと寅子の没後の話にしようかな、と。寅子の『はて?』が受け継がれて、世の中が少しずつでも変わっていく様子を、優未を通じて1週間かけて描きたいと考えていました」と吉田氏。
ただ、第23週(9月2~6日)の「原爆裁判」以降も「尊属殺重罰規定違憲判決」「少年法改正の問題」を主軸に「優未の進路」「のどか(尾碕真花)の結婚」「崔香淑/汐見香子(ハ・ヨンス)の母娘関係」「多岐川(滝藤賢一)の最期」「朋一(井上祐貴)の異動」「司法の独立を守る桂場の孤独」「寅子と美佐江・美雪母娘(片岡凜)の決着」など「盛りだくさんの内容で、分量がオーバーしてしまって(笑)」。平成編は、最終回だけに留めることになった。
寅子と桂場による最終回の法律談議は「初稿では第129回のラストに入っていたんですけど、『虎に翼』の最も大事なシーンの一つですし、桂場に出会って始まった寅子の法曹人生が桂場で終わるのも美しいかな、と。はるさん(石田ゆり子)の再登場(幽霊)も叶ったので、時系列を入れ替える構成に変更しました」と本打ち(台本打ち合わせ)の経緯、狙いを明かした。
そしてラストシーンは、懐かしの法服をまとった寅子が最高裁大法廷に立つ。曲名と同じ主題歌の最後のフレーズを口パク。笑顔でフレームアウトした。「2番が流れる」「歌に合わせて口パク」は台本の指定だった。
寅子は寅子らしく――。番組公式ガイドブックPart2(NHK出版)で「最後の歌詞を聞いた時、思わず泣いてしまいました」と感動ぶりを明かしていた吉田氏。
「2番の歌詞は寅子に寄り添う内容なので、最終回で流すことができたらと、ずっと強く思っていました。スタッフの皆さんと知恵を出し合う中で、例えば寅子が口ずさむのは?と(チーフ演出の)梛川(善郎)監督が提案くださって。私は最初“そんなことできるんですか?”という感じでしたけど(笑)、確かに最終週は大法廷のセットがあるし、寅子はキャリア上、大法廷に立つことがなかったので、『虎に翼』を象徴する場所で終われるのは凄くいいと、皆さんの考えも一致しました。物語のエンディングとしても、直前の寅子と桂場のバトルでピークを迎えていて、時系列の入れ替えが功を奏した形です。第45回(5月31日)でタイトルバック(主題歌)をラストに持ってくる演出を、出し惜しみせずに先にしてくださったおかげで、それとは違う形をスタッフの皆さんと模索し、作り上げることができました」
難しくも意義深いテーマを、エンターテイメントに昇華し続けた今作。最終回も総力結集の賜物となった。