早期発見に特化「膵癌ドック」でMRCP検査&超音波内視鏡検査 自治医科大学付属さいたま医療センター

2024年09月27日 05:00

芸能

早期発見に特化「膵癌ドック」でMRCP検査&超音波内視鏡検査 自治医科大学付属さいたま医療センター
自治医科大の膵癌ドックで使われている超音波内視鏡。先端に付いている超音波機器で膵臓の隅々までチェックする Photo By スポニチ
 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(73)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は、さいたま市の自治医科大学付属さいたま医療センターにある「膵癌(すいがん)ドック」を紹介します。
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。猛暑もようやく収まってきました。季節の変わり目です。体調には気をつけてくださいね。

 さて「膵臓がん」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?早期発見が難しい、亡くなる方が多い、というイメージでしょうか。国立がん研究センターの発表によると、2020年に膵臓がんになった方は、がん全体で5位までに入っていません。でも、こちらは2022年の数値ですが、膵臓がんで亡くなった方は全部のがんのうち男性が4位、女性3位でした。肺がんや大腸がんなどと違って、膵臓がんは各自治体での検診もないですよね。不安に思っている方も多いでしょう。そこで今日は、オープンから1年になる自治医科大学付属さいたま医療センターの「膵癌ドック」についてお伝えします。膵癌ドック責任者であるセンター長補佐、一般・消化器外科教授、野田弘志先生に詳しく教えていただきましょう。

 野田先生、膵臓がんはやっぱり怖いですね。
「20年ほど前は、5年生存の数値はいいものではありませんでした。最近は化学療法(抗がん剤)や手術の進歩で、5年生存、10年生存を目指せる患者さんが増えています」

 自覚症状がないと言われてますが。
 「膵臓は胃や大腸などのように直接食べ物が通る消化管ではないので、食べると違和感があるとか、痛みがあるとか、そういう症状が出にくいです。膵臓の近くには重要な血管がたくさん走っているので、がんが周囲の臓器に広がりやすく、皮膚や目が黄色くなる黄疸(おうだん)が出たり、尿が褐色になったり、背部・腰痛といった症状が感じられるようになったときは、早期とは言えず、進行しているケースが多いです」

 そこで、膵臓がんドックですね。
 「当院でも『PET―CT総合がん検診』という、PET―CT、超音波、血液・腫瘍マーカーによる検査を行っています。ただ、この3検査では膵臓がんは発見できないことがあります。膵臓は胃の後ろにあるので、体表から機器を当てる超音波検査では胃や腸管の中の空気が邪魔をして膵臓全体を検査しにくい。内臓脂肪が多い場合も同様です。また、糖尿病の方はPET―CTで病変検出の精度が落ちます。糖尿病は膵臓がんの危険因子の一つなので、どうしてもPET―CT検診ではカバーできない面があります」

 自治医科大学付属さいたま医療センターの膵癌ドックはPET検診と比べて、どんな特徴があるんですか。
 「超音波検査、血液・腫瘍マーカー検査は同じように行いますが、MRCP検査と超音波内視鏡検査の2つが加わります。MRCP検査はMRI検査の一種で、膵臓の中に走っている膵管の形を映し出すのに優れています。がんができていれば膵管を圧迫して狭い部分が出てきますし、内部に液体がたまっている袋、嚢胞(のうほう)も発見できます。超音波内視鏡検査は、当ドックの一番の特徴です。胃カメラの先に付いた内視鏡を胃壁に当てて、すぐ横にある膵臓を隅から隅まで超音波でチェックします。通常の超音波検査と違って遮るものがほとんどないので、よく観察できます。早期がんではありませんが、がんに進行する可能性がゼロではないごく小さな病変、いわゆる『前がん病変』を発見する目的もあります。前がん病変が見つかった場合、経過観察をしていけば、たとえ膵臓がんになったとしても極めて早期に治療を始められます」

 この超音波内視鏡検査が効果絶大なんですね。
「超音波内視鏡検査まで実施している膵癌ドックは、国内の大学病院では当院を含めて3カ所。世界的にもまれで、先進的な取り組みです。超音波の装置が付いているので、通常の胃カメラよりほんの少し太いですが、麻酔で眠った状態で検査しますので、胃カメラを敬遠しがちの方でも、不安を感じずに苦痛なく受けていただいています」

 特にどんな方が受けるのがいいでしょうか。
 「喫煙者、糖尿病を患っている、糖尿病のコントロールが突然悪くなった、糖尿病の症状が突然出た、家族に膵臓がん患者がいる、大量飲酒をする、慢性膵炎と診断された、こういう方に特に受診をお勧めします。漠然とでも膵臓がんが心配だという方も、どうぞお越しください。万一、何らかの病変が見つかった場合、当院でしっかり経過観察し、万全の治療態勢を取ります」

 健康保険の適用外なので費用はかかりますが、高確率で膵臓がんの元を見つけてもらえるなら、受診する価値は十分あります。実は私も昨年、慢性膵炎と診断されているので、膵癌ドックがあると知れただけでも心強いです。皆さんも一度、受診を検討してみてはいかがですか。

 ◇自治医科大学付属さいたま医療センター膵癌ドック センターはJR大宮駅からバスで約10分。毎週月曜日(祝日、年末年始を除く)午前に実施。約3時間で定員2人。検査結果は受診から2~3週間後に報告。費用11万円(税込み)。さいたま市のふるさと納税の返礼品として、寄付額により1万~5万円の割引チケットがあり、膵癌ドックだけでなく、脳ドック、PET―CT総合がん検診にも利用可能。

 ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。元為替ディーラーで経済評論家の岩本さゆみ氏との共著「日本経済 本当はどうなってる?」(青春出版社)が販売中。

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