【日本ダービー】レイデオロ100点! 耳一変で増した集中力

2017年05月24日 05:30

競馬

【日本ダービー】レイデオロ100点! 耳一変で増した集中力
集中力と発達した筋肉を併せ持つレイデオロの立ち姿 Photo By スポニチ
 戦国ダービーを制す黄金の輝き!鈴木康弘元調教師がG1出走馬の馬体を診断する「達眼」。第84回ダービー(28日、東京)ではレイデオロに唯一の満点を付けた。休養明けの皐月賞では5着に敗れたが、達眼が捉えたのは一変を告げる立ち姿。スペイン語で「黄金の王」と名付けられた東のエースがライバルを圧倒するスーパーボディーで混戦に断を下す。
 競走馬には2通りのタイプがあります。休み明けでも気の入った走りができる鉄砲型。休み明けを使われてから気持ちが乗ってくる叩き良化型。ヤセ馬に重荷といって、体も心もくたびれた馬はどのみち走りませんが…。

 青々と葉を茂らせた壁紙をバックにたたずむレイデオロ。その写真に向かってどちらのタイプなのか尋ねてみました。「叩き良化型だよ」。耳のしぐさで返答してきました。今回撮影した馬体写真の耳の部分を拡大して前回(皐月賞時)と比べてみれば、誰にでも分かります。前回は「左耳を前方へ、右耳を後方へ向けて、集中力を欠いている」と指摘しました。ところが、今回は両耳をそろえて真正面に向けています。カメラマンによると、いずれも静かな環境で撮影したそうです。耳は馬の心理状態を映す鏡。散漫な耳から集中力のある耳へ。目線と鼻先も耳に合わせて正面の1点に向いている。やる気を雄弁に伝える立ち姿です。

 皐月賞時もかなりのレベルまで仕上がっていました。体つきに変化はほとんどありません。鍛え抜いたのがひと目で分かる強じんなトモ(後肢)。3歳春のサラブレッドとは思えない発達したキ甲(首と背中の間の膨らみ)。馬はキ甲で重量を背負い、トモで加速する。馬体の要となる2つの部位がどのライバルよりも際立っています。

 体つきでわずかに変わったのは腹周り。皐月賞時にはエネルギーで満タンになっていた腹が少し引き締まっている。素軽さが加わりました。左前の向こうずね(前肢の管骨)は少しだけ出ています。冬場にソエ(若馬特有の管骨の炎症)が出たそうですが、その名残でしょう。四肢に均等に負重をかけた立ち方からダメージは皆無。皐月賞まで休ませたのが正解だったようです。強じんなトモのパワーを伝える飛節や膝にも狂いなし。首差しから肩、つなぎ、蹄に到るまで全てに無駄がなく、絶妙な角度でリンクしています。

 ソウルスターリングにも共通する機能美。2400メートルを走るなら体のどこかに少し遊びが欲しいとも思いますが、ソウルは遊びの全くない体形でオークスを完勝しました。レイデオロはソウルに比べれば、部位のつながりに余裕があります。さあ、ダービー。全てのホースマンが目標にするタイトルの重みを堂々と背負えるキ甲と爆発的な末脚を生み出すトモ、集中した耳。叩き良化型の本領を発揮する時です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93〜03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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