【ジャパンC】レイデオロ100点!富士山のような全身機能美

2017年11月21日 05:30

競馬

【ジャパンC】レイデオロ100点!富士山のような全身機能美
ひと夏越して厚みを増したキ甲と発達したトモ。もはや古馬並みのレイデオロの馬体 Photo By スポニチ
 富士山頂に届く成長曲線だ。鈴木康弘元調教師がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。第37回ジャパンC(26日、東京)ではダービー馬レイデオロに唯一の満点を付けた。達眼が捉えたのは天井知らずの成長力。01年ジャングルポケット以来16年ぶり2頭目となる3歳ダービー馬のJC獲りが現実味を帯びてきた。
 100人のホースマンにレイデオロの立ち馬を見せれば、100人全てが口をそろえて古馬だと即答するでしょう。富士山の峰のように突出したキ甲(首と背中の間の膨らみ)。ダービー時にもライバルを圧倒するキ甲を備えていましたが、ひと夏越してさらに厚みを増しています。今春とは見違えるほど発達したトモ(後肢)。たくましい筋肉のよろいをまとった姿は富士山に例えれば、小御岳(5合目)の岩肌のようです。馬はキ甲で重量を背負い、トモで加速する。馬体の要となる2つの部位が歴戦の古馬と勘違いしてしまうほど際立っています。伸び盛りの3歳とはいえ、半年でここまで変わるとは…。驚異的な成長です。

 ダービーでも指摘しましたが、全身が機能美にあふれている。強じんなトモのパワーを伝える頑丈な飛節。しっかりと抜けた首差しから肩、膝、球節、つなぎ、蹄に至るまで全ての部位が過不足なく、絶妙な角度でリンクしています。富士山の美しい稜線(りょうせん)のように均整の取れた体のライン。しかも、各部位のつながりに余裕があるため距離にも融通が利く。今春同様、左前の向こうずね(左前肢の管骨)が少しだけ出ています。昨冬にソエ(若馬特有の管骨の炎症)が出たそうですが、その名残です。富士山腹の農鳥(鳥の形に見える残雪)のようなもの。懸念には及びません。

 馬体ほどではないが、気性も大人になってきた。皐月賞時は左耳を前方へ、右耳を後方へ向けた散漫な立ち姿。ダービー時は両耳と一緒に目線と鼻先も真正面に向き、やる気を前面に押し出した立ち姿。今回は顔を横にいるカメラマンに少しだけ向けて、注意を払っています。輝いた目、集中力のある耳、ゆったりと垂らした力強い尾、ハミをしっかりと受ける口元…。気性の成長を読み取れます。

 100人のホースマンに見せれば、100人とも古馬だと勘違いしそうな立ち姿。今回は古馬勢との初対戦になりますが、世代ギャップを埋めてなお余りある伸びしろです。加齢して本当の古馬となれば、もっと変わるでしょう。富士八峰になぞらえれば、3歳春は最も低い駒ケ岳、現在は5、6番目に高い大日岳、伊豆岳あたりか。最高峰の剣ケ峰にも届くと思わせる、天井知らずの成長力です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93〜03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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