【オークス】切れ切れライラック、鋭い伸びラスト11秒5
2018年05月17日 05:30
競馬
松永幹師は潔く「明らかにこっちは挑戦者ですよ。クリストフ(アーモンドアイの鞍上ルメール)がインタビューで“トリプルクラウンを狙う”と言っていたじゃないですか。怪物なんでしょうね」と、相手を一目置く存在とした。
だからといって手をこまねいているわけではない。雪辱に闘志を燃やすのみだ。
距離延長となる2400メートルの舞台で、より威力を増すように――。調教では常にパートナーの後ろにラッキーライラックが陣取るようにした。この日の最終追い切りもそう…。先行したシャンティローザ(4歳1000万)を目掛けシャープに脚を伸ばすとラスト1Fは11秒5。あっさりと1馬身突き抜けた。
「調教は毎日、馬の後ろに置いています。我慢を利かせるのもあるけど、この列で競馬をするんだぞ、と教える意味もある。何しろ反応が良過ぎる馬だから(その調教で教育することが)大事なんです」
上がり重点でまとめた動きに松永幹師が目を細め、静かな口調で距離延長を歓迎する旨も伝えた。
「以前から長いところがいいと思っていた。スタミナがあって跳びも大きい長距離向き。やっと千六以上の距離に使える。ライラックにとってはプラス」
桜花賞でアーモンドアイにつけられた1馬身3/4差を2400メートルで覆す。そんな決意表明にも聞こえた。
桜花賞馬アーモンドアイを怪物と称するなら09年の牝馬クラシックが重なる。あの年、松永幹師が率いたレッドディザイアは怪物牝馬ブエナビスタを相手に桜花賞で半馬身差2着。オークスでは差を詰めたものの鼻差2着で涙をのむ結果だった。くしくも今年も似たシチュエーションだが、今度は負けられない。距離延長を味方に怪物退治したライラックが逆転戴冠を果たす。