“実りの秋”へ芝とダートのメンテナンス進む中山
2024年06月13日 10:20
競馬
まずは直線のゴール板付近から芝コースに入場。春開催終了直後から傷みの激しい内ラチ沿いを中心に、約2万2000平方メートル分の芝を張り替えた。野津課長は「例年は2万平方メートルくらいですが、今年は少し傷みが多かったので。内回りと外回りの合流地点で、特に傷みが激しい3角から作業を始めて無事に終わりました。この後は散水しながら芝が根付くように管理していきます」と説明する。
1平方メートルほどの大きさで長方形のマット状の芝を、最大約100人の作業員が一つずつ手作業で張り替えた。4角から直線にかけては張り替えて日が浅い分、長方形の芝の輪郭がくっきり浮き出ている。しかし、作業から1カ月ほどが経過した3角は芝が青々と生い茂りほぼ“一体化”していた。「今年は天気も良かったので順調に来ましたね」と野津課長の表情も明るい。
続いてダートコースへ。向正面から入ると早速驚いた。開催中に敷き詰められていたクッション砂が全くなく、山砂が締め固められた路盤がむき出しになっている。取り除かれた砂は馬場の内側に集められ、洗浄された後に戻されるという。「ダートは安全のために、いかに乾いた良馬場にするかが大事。馬が走った衝撃やハロー掛けの影響で砂の粒が壊れて粉っぽくなり、そうした砂ぼこりや汚れなどが排水不良の原因になります。それを防ぐために洗浄していますね」と話した。
安全・公正な競馬開催の実現へ、この期間は欠かせない大切な時間。それだけにプレッシャーも大きい。「(秋開催)初日は緊張しますね。芝とダートの最初のレースは、競走後すぐに確かめに行きたいくらいです」と野津課長。夏競馬が始まったばかりだが、実りの秋に向けての入念な準備が着々と進められる。
◇後藤 光志(ごとう・こうし)1995年(平7)12月8日生まれ、愛知県出身の28歳。中大卒。20年スポニチ入社。整理部、福島支局を経て今年4月から中央競馬担当。