【若松ボート G1全日本覇者決定戦 注目選手<2>】西山貴浩 純地元G1制覇へ“超本気スイッチ”ON
2024年09月22日 05:00
ボートレース
「デビューした水面で、初優勝も若松。全選手の中で気合は1番入っていますよ。負けたくないし、負けられないと思っています」
西山にとって若松周年は楽しみでもあり、苦しくもある。気合が入れば入るほど、それに反比例してメンタルはすり減るもの。調整の手もギリギリまで緩められない。ましてフライング1本持ち。張り詰めた緊張の糸を最後の最後までキープし続けなければならないのだ。もちろん、それは西山自身も覚悟している。
「フライング持ちで無理はできないし、来年を棒に振ることはできません。来年は若松でクラシックとメモリアルがあるんで、そこに選手生活のピークを持って行くつもりですから。でも地元だし、集中力を研ぎ澄ませて、しっかりスタートは決めていきますよ」
いよいよ、大一番がやってくる。勝ちたい気持ちが強いのは当たり前。今回もそれだけではない。かわいがっていた後輩に対する思いも胸に水面を走る。後輩とは中田達也さん。2年前にレース中の事故で帰らぬ人となってしまった。
「若松を走る時は達也と一緒です。あいつの分も気持ちを込めて走りますよ。優勝してトロフィーを仏壇に飾ってやりたいです」
瞳が輝くという表現が一般的によく使われる。今回の西山は瞳が引き締まるとでも言うべきか。輝きは瞳の奥底にそっと置いておこう。ボートの上では中田達也さんと二人三脚。真っ白な闘志で立ち向かう。西山の超本気スイッチがONとなる9月27日。笑みがはじける10月2日へ向けて、西山は静かに歩みを始める。