リネールに勝て!世界の山下寝技塾 原沢に最強の極意伝授

2016年07月28日 09:45

五輪

リネールに勝て!世界の山下寝技塾 原沢に最強の極意伝授
山下泰裕氏(右)の直接指導を受ける原沢久喜
 リオデジャネイロ五輪に出場する柔道の男子代表が27日、東京都北区の味の素トレセンで報道陣に合宿を公開した。男子100キロ超級の原沢久喜(24=日本中央競馬会)には、84年ロサンゼルス五輪無差別級金メダリストの山下泰裕氏(59)が異例の直接指導を行った。日本重量級の完全復活には、世界選手権7連覇中のテディ・リネール(27=フランス)撃破が至上命令。希望を託されたホープに“世界の山下”が実演指導で極意を叩き込んだ。
 山が動いた。いや、山下氏が動いた。立ち技から寝技に移る動作を確認していた原沢を見て、たまりかねたように近づいた。自分自身で実際にやってみせ、さらに原沢の手を取り、足を取って、理解すべき点を丁寧に説明した。

 「狙いはいいと思った。ポイントを押さえれば絶対に試合でモノになる」と語った山下氏は「あれは私の得意技だったんでね」とにやりとした。立ち技からの連続した動きの中で相手を抑え込む。山下氏いわく、原沢に欠けていたのは「体重のかけ方」「足で相手の首を制すること」の2点。直接指導で最強の極意を伝授した。

 レジェンドからの思わぬ助言を受けた原沢は「あまりお会いすることがないので、かなり勉強になりました」と神妙に語った。貴重な実演指導が実現したのは、それだけ大きな期待の裏返しでもある。かつては山下氏が君臨した最重量級だが、最強の座はいまやリネールに完全に取って代わられた。4年前のロンドン五輪では100キロ級の穴井隆将、上川大樹ともに2回戦で憤死。リオ五輪は日本重量級再建のための戦いでもある。

 「まだまだ日本では重量級の勝者が世界一という意味がある」という山下氏は、今回の100キロ超級についてもその重要性をこう語った。「原沢がリネールに勝つことは、他の階級の金メダルとはひと味もふた味も違う。かなり大きな意味を持つんじゃないか」

 世界ランキングでシード順が決まるため、同2位の原沢が同1位のリネールと対戦するのは決勝戦。男子代表の井上康生監督もそこでの大一番を見据え、「リネールを打ち破れるのは原沢と思っている」とこれまでの合宿の中で、すでにいくつかの対策を仕込んでいる。

 この日の練習後は世界大会前の恒例行事として、男女代表でそろって千葉県松戸市にある嘉納治五郎氏の墓前に活躍を誓った。その後は東京都北区の講道館で壮行式に出席した。原沢は「覚悟を持って最後まで一戦一戦戦い抜きたい」と宣言。日本柔道界の総力を結集した戦いがリオで待っている。

おすすめテーマ

2016年07月28日のニュース

特集

【楽天】オススメアイテム