55年前の日本代表監督交代
2018年04月12日 09:30
サッカー
長沼健会長はW杯初出場を実現させるためにぎりぎりの決断したわけだが、結果は吉と出た。最終予選が始まって1カ月半が経過していたが、選手間でわだかまりがあってチームが一丸になっていなかった。監督交代発表後選手だけで集まって「こうなったのは選手の責任だ。言いたいことを言い合おう」と、酒を飲みながらみんなで思っていたことをぶつけあったという。それでチームがまとまった。
じつは64年の東京五輪前にも日本代表監督の解任劇があった。当初、東京五輪は60年に就任した高橋英辰監督が指揮を執るはずだったが、62年8月のアジア大会(インドネシア)は1勝2敗で1次リーグ敗退、続くムルデカ大会でも1分け2敗と不振。高橋監督への批判が強まり、東京五輪まで1年半と迫った63年春に日本蹴球協会は高橋監督を解任し、後任に当時32歳の長沼監督と31歳の岡野俊一郎コーチを就任させた。特別コーチとして日本代表の強化に力を注いでいたクラマーさんと対立したことが原因で、クラマーさんの強い進言があったといわれている。長沼―岡野コンビでチームが生き返り、釜本邦茂、杉山隆一らの若手が奮起して東京五輪でベスト8入り、そして68年メキシコ五輪で銅メダル獲得と日本代表は結果を出した。大胆な決断が功を奏したわけだ。
今回もタイミングを考えれば大胆な決断だった。火中の栗を拾った西野朗監督はアトランタ五輪やJリーグで実績があるものの、あまりにも時間がない。できることは限られており、しかも立て直せなければ批判されると予想される中で、リスクを負っての就任だった。
過去の例のように今回も結果が出るか。今回の監督交代劇から選手が何を感じ取り、どう変わっていくのかで成否が分かれる。そこを注目したいと思う。
◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。
おすすめテーマ
2018年04月12日のニュース
特集
サッカーのランキング
-
浦和 来季補強第1弾、明大DF岩武の獲得内定、即戦力を期待
-
神戸 FW佐々木の初先発弾実らず…土壇場で悔しい逆転負け
-
C大阪 福満逆転ヘッド!リーグ3連勝で4位浮上、清武も復帰
-
川崎F 知念先制も逆転●…またセットから「課題は一瞬の隙」
-
G大阪お待たせ今季リーグ初○!東口完封“元監督”へ猛アピール
-
FC東京4連勝 室屋、2点絡み猛アピール「気持ち良かった」
-
鹿島 夢生弾の不敗神話ついにストップ…公式戦4試合白星なし
-
長崎J1初○!武蔵V弾、高木監督「執念で勝ち取ったゲーム」
-
広島7戦不敗堅守でクラブ記録!城福監督「このままの勢いで」
-
柏 敵地で粘勝、下平監督「守り切った頑張りに感謝したい」
-
仙台2位浮上、西村“故郷に錦”2発!指揮官称賛「素晴らしい」
-
札幌 都倉“エースの証”AT弾!「チャンスを決めるだけです」
-
西野J新体制へ 森保U21監督、下田GKコーチらの入閣濃厚
-
JFA、ハリル氏訴訟報道へ方針「引き続き誠意ある対応を」
-
なでしこ W杯13日豪州戦で決める!1点取って△以上で決定
-
バルサ散る…不発メッシ憤然、指揮官謝罪「ファン落胆させた」
-
ジェコ逆転立役者「この日のように戦えばどんな相手も勝てる」
-
サラー覚醒4強導く!「得点を狙うのは勝つため、それが一番」