欧州スーパーリーグ創設発表 サッカー界に激震 FIFA、UEFAは全面的反対

2021年04月20日 05:30

サッカー

欧州スーパーリーグ創設発表 サッカー界に激震 FIFA、UEFAは全面的反対
欧州CLとSLの比較 Photo By スポニチ
 サッカーの欧州強豪クラブが「スーパーリーグ」(SL)創設で合意したと参加12クラブが18日に発表した。開幕時期は未定。国内リーグは脱退せず、欧州チャンピオンズリーグ(CL)に代わる大会として平日に実施を目指すが、国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)は全面的に反対する声明を発表。FIFAは今年1月にSLに参加したクラブや選手を公式大会から締め出す方針を示しており、対立が続けば世界のスターがW杯から姿を消す可能性が出てきた。
 サッカー界が分断の危機に見舞われた。SL参加を決めたのはRマドリードやバルセロナ、マンチェスターUにユベントスなど、スペイン、イングランド、イタリアの名門や強豪ばかり12チーム。超大型補強でかつて「銀河系」と呼ばれるチームを築いたRマドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が新リーグの初代会長に決まり「サッカーは40億人以上のファンがいる唯一の世界的なスポーツ。我々ビッグクラブには彼らの欲求に応える責任がある」と宣言した。

 発表にはBミュンヘン、ドルトムントなどのドイツ勢やパリSGなどフランス勢は含まれていなかったが、SL側は15チームを入れ替えのない固定の創設メンバーとする方針で、今後は有力クラブの切り崩しを図るとみられる。さらに入れ替えが可能な5チームを加え、20チームでの開催を計画。米投資銀行のJPモルガンが資金を調達し、参加クラブには総額35億ユーロ(約4550億円)の準備金が施設整備などのために分配され、女子SLも計画されているという。

 SL側は早急に新リーグ開幕にこぎ着ける意向でFIFA、UEFAと話し合っていくというが、全面対決は避けられない状況だ。

 UEFAは有力クラブの要請も受けて収益増を目指し、19日の理事会でCL改革案を承認する見通しだった。今回の件では顔に泥を塗られた形となりSL側の発表を待たずに12チームの所属協会などと連名で声明を公表。法廷闘争や国内リーグからの除外など「あらゆる手段」を用いてSLに反対する意向を示した。

 チェフェリン会長はさらに19日の理事会終了後、スーパーリーグ参加クラブや所属選手に関し「可能な限り早く、我々の大会から除外すべき」と発言。準決勝を控える今季CLはパリSGを除くマンチェスターCとチェルシー、RマドリードがSL参加チームで、今夏の欧州選手権と合わせてUEFAの対応から目が離せない状況だ。FIFAも「閉鎖的な欧州の分裂リーグは承認しない」と実現に反対。来年のW杯で除外に動く可能性もあり、着地点は簡単に見つかりそうもない。

 ≪英首相「有害」仏大統領も“反対”≫SL構想に猛反発や非難の声が上がった。ジョンソン英首相は「構想はサッカーにとって非常に有害。国中のファンに懸念をもたらす」とツイート。フランスのマクロン大統領はパリSGがSLに同調しなかったことに「連帯の原則とスポーツの価値を脅かす構想を拒否したことを歓迎する」とコメントした。マンチェスターUで活躍したガリー・ネビル氏は「コロナ禍と経済危機の最中に構想を公にするのは恥ずべき行為。参加するチームから勝ち点を剥奪すべき」と主張した。

 ▽欧州CL 欧州各国のリーグ王者がトーナメント方式で対戦した1955年創設の欧州チャンピオンズ杯が前身。91~92年シーズンからリーグ戦が一部導入され、翌92~93年からCLに移行した。99~00年から32チーム制に拡大。イングランド、スペインなど上位リーグからは最大4チームが出場。優勝を争う強豪に有力選手が集まり、活動期間が限定される代表チームと違って日常的に連係や戦術を熟成させるため、世界最高峰と言われる。最多優勝はチャンピオンズ杯時代を含めてRマドリードの13回。

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