日大・林真理子理事長、辞任否定 改革へ強権発動 薬物事件のアメフト部廃部は「継続審議していく」

2023年12月05日 05:05

社会

日大・林真理子理事長、辞任否定 改革へ強権発動 薬物事件のアメフト部廃部は「継続審議していく」
会見を行う林真理子・日本大学理事長(撮影・西川 祐介) Photo By スポニチ
 日大の林真理子理事長は4日、大学本部で記者会見し、アメリカンフットボール部の薬物事件を巡り「対応の混乱について、改めて深くおわびする」と謝罪した。事件担当の沢田康広副学長、監督する立場の酒井健夫学長がそれぞれ辞任が決まった一方、自身は減給処分にとどまり、この日も辞任を否定。自らがトップの本部管理下にスポーツ組織を新設する案を表明するなど改革意欲を示した。
 8月8日以来、118日ぶりに記者会見に臨んだ林氏。ガバナンス(組織統治)の機能不全を露呈して「お飾り」と追及された前回から4カ月と期間を置いた今回は45社、149人の報道陣に向かった。

 予定の2時間を超え2時間45分に及んだ会見。昨年7月の理事長就任から状況が悪化しているとの指摘に「私が就任して1年間は着実に改革が進んだと考えているが、この案件が起きてから滞っている」と険しい表情を浮かべた。

 最大の焦点となっているのはアメフト部の存廃だ。競技スポーツ運営委員会が先月28日に廃部の方針を固めた。同30日、大学側が文部科学省に提出した改善計画にも明記されたが、翌1日の理事会で複数から反対意見が上がり、継続審議となり、事態は再び混迷を極めることになった。林氏は「理事会で継続審議していくことになる」と多くを語らず、自身の見解を問われても「継続審議中なので私の考えはご容赦いただきたい」と話すにとどめた。結論を出す時期も未定とするなど終始歯切れが悪かった。

 一方、意気軒高だったのは改革案を披露した場面。アメフト部など34の競技部を所管する「競技スポーツ部」を廃止し「競技スポーツセンター」を新設することを表明。「私たち本部がきちんと管理して、私どもの下に置くということですから、目が十分にいき届く」と力を込めた。公表されている改善計画に具体的な構想が記されているものの、会見では詳細に踏み込まなかった。

 競技スポーツ部は「学長をトップとする教学事務部門の管理下にある」(日大関係者)という。改革が実行された場合、経営を担う大学本部が管理、運営に直接関わるとみられる。林氏の名前にちなめば、タレントの篠田麻里子(37)がAKB48時代に歌ったセンター曲のタイトルのように“上からマリコ”体制になる形だ。

 改革の大きな柱だとし「日大の学生スポーツを変えれば、日本の学生スポーツを変えられる」と大風呂敷を広げてみせた。だが、会見に参加した日大新聞の学生から一連のゴタゴタ劇を「一学生としてあきれている」と苦言も呈されるなど求心力には疑問符もついた。


 ≪林理事長の主な一問一答≫

 ――委員会から廃部と聞いてどう思った?
 「特別な気持ちはなく、一つの方針と捉えていて、結論と考えていない」

 ――廃部の撤回を求める動きがあるが?
 「世論に揺れているということはなく、競技スポーツ運営委員会は自分の考えを出し、理事会も考えを示すのではないか」

 ――改革を掲げ就任したが現状は悪化しているようにも見える。
 「こういう大きな事件が起こると体質、組織が脆弱(ぜいじゃく)だったと痛感している」

 ――改革に至っていない最大の要因は?
 「ムラ社会の体質とか、いくつかの組織風土の欠点も挙げられるのではないか」

 ――辞任は一度も考えなかったのか?
 「何度か考えたこともあった」

 ――理事会で廃部が決まる前に監督が(部員に)メールで連絡したのはなぜか?

 「分かりかねる」
 ――日大の学生に向けてコメントを。

 「学生に不利益になることは避けたいと考えている。日本大学を信頼してもらいたい」

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