斎藤元彦兵庫県知事「当時の認識では間違ってない」 百条委員会が証人尋問もパワハラ認めず

2024年08月31日 04:40

社会

斎藤元彦兵庫県知事「当時の認識では間違ってない」 百条委員会が証人尋問もパワハラ認めず
兵庫県庁で開かれた文書問題調査特別委員会(百条委員会)に出席した斎藤元彦知事 Photo By スポニチ
 斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は30日、パワハラ疑惑について斎藤氏本人に初めて証人尋問した。斎藤氏は、県職員へのアンケートで約4割が「見聞きした」と記した「部下への叱責(しっせき)」「理不尽な言動」の数々に反省を示す場面もあったが「仕事は厳しくというのが私のスタイル」と説明。「当時の私の認識では間違っていなかった」と繰り返し、パワハラかどうかは「百条委員会が判断すること」として自ら認める発言はなかった。
 黒のスーツ姿の斎藤氏は男性弁護士を従えて入室。委員に10秒ほど深々と一礼し着席した。告発文書は元県民局長の男性が作成、配布したもので疑惑7項目が列挙されていた。この日はパワハラ疑惑が扱われ、委員が次々と“事例”を挙げた。

 県内の博物館を訪れた際、入り口から約20メートルのところに車止めがあり、そこから歩かされたことに「なぜ車止めを外しておかない」などと職員を大声で叱責。この件については「車止めを外すのを忘れていたと強く思った。職員の対応が不十分だったと思った」と回答。「当時の私の認識では合理的だった。過大な要求はしていない」などと話した。

 介護支援ロボットの事業では「こんな話、聞いてない」と激怒。職員から事前に資料が送られていたが「資料に掲載しているからといって、知事が知っていると思うな」と声を荒らげた。委員からこの余波で関連施設の開所が遅延したと指摘されると「私も完璧な人間ではない。1回聞いて全て覚えているわけではない。全能ではない」と開き直った。

 「机を何度も叩いて叱責した」「付箋を投げつけた」との行為については認めたが、パワハラとして謝罪せず。「不快な思いをしたなら反省する」と述べるにとどめた。

 「知事は“瞬間湯沸かし器”で、すぐ怒鳴ると言われている」。こう指摘する委員もいた。斎藤氏も自身の性格について「仕事でミスがあると短気な面もある」と語った。公用車の到着時間が遅れると不機嫌になる一方、自身が指定時間に遅れることは「ある」と話す矛盾も露呈。委員からは失笑も漏れた。

 告発文書を作成した元県民局長への懲戒処分については「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書と判断した」と述べ、適切だったとの考えを改めて強調。最後まで自身の言動を正当化するような言葉が目立った斎藤氏。終了後「これからも県政を前に進めたい」と辞職を否定した。委員長の奥谷謙一県議は「極めてパワハラに近いと評価できるのではないかと個人的には考えている」と述べた。

 ≪深夜や休日にチャットで叱責≫斎藤氏が深夜や休日に会議用アプリのチャットで部下を叱責したり、職員にすぐに対応を求めるようなメッセージを多数送信していたことも新たに判明した。昨年7月には、午前1時近くに県立美術館の長期休館について「なぜ一言も知事に報告がないのか。知事が報道で初めて知るのはおかしい」などと責めるメッセージを送った。斎藤氏は「早めに伝えた方がいいと思った。やり過ぎた面があったかもしれない」と話した。知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会の委員からも「思いやりがない」「人望がない」と厳しい言葉を浴びせられた。

 【経過】死亡した元県民局長の男性は、3月中旬に斎藤知事のパワハラ疑惑など7項目を告発。これに対し、斎藤氏は同月27日に「うそ八百」と否定し男性を非難。しかし、4月16日に県幹部が地元企業からの贈答品受領を認めると、告発を「事実無根」とした斎藤氏の対応に批判が集まった。

 県は5月7日に内部調査の結果、文書を誹謗(ひぼう)中傷と認定。男性を停職3カ月の懲戒処分としたが、県議会が第三者機関の再調査を要請。6月に百条委の設置が決定し7月19日に男性を証人喚問する予定だったが、同7日に死亡した。

 今月23日には百条委がパワハラ疑惑について職員6人を証人喚問。告発された叱責場面と同様の証言があった。全職員対象のアンケートの中間結果も公表され、約4割がパワハラを見聞きしたと回答した。

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