不信任案可決の兵庫・斎藤知事 県民に謝罪も議会解散、失職に言及なし「心の中に問いながら考えたい」

2024年09月19日 18:02

社会

不信任案可決の兵庫・斎藤知事 県民に謝罪も議会解散、失職に言及なし「心の中に問いながら考えたい」
斎藤元彦知事 Photo By スポニチ
 パワハラやおねだりなど数々の疑惑を告発された兵庫県の斎藤元彦知事(46)が19日、開かれた県議会で不信任案が提出され、全会一致で可決された。
 この日の議会の終盤で、県議から不信任案が出されると、斎藤氏は口を真一文字に結びながら聞き入った。投票が始まると、投票する議員の名が呼ばれるたびに小さくおじぎし続けた。採決には86人全員が出席。全員が賛成を意味する白票を投じ、可決に必要な65人を上回った。可決が宣言されると、議会内には拍手が起こり、斎藤氏は表情を変えずに各議員に頭を下げた。

 閉会後に取材に応じた斎藤氏は「あらためて県民の皆さまに、こういった状況になっていることについては結果的に不信を抱かせてしまっているということに心から申し訳なく思っています」と謝罪。「先ほど県議会で不信任案が全会一致で可決しました。この事実は私自身、受け止めなければいけない、重い状況だとあらためて認識しています」と述べた。

 今後については「これは大変重い、議会側の選択です。一方で私にとっても重い状況をある意味、示されたということになっていますので、しっかり考えることが大事」とし、「自分自身の思い、兵庫県にとってどういうことが大事かということですね。そういったことも考え、心の中に問いながら考えていきたい」と述べた。10日以内に議会解散か、自身の失職を選ぶことになるが、それについての具体的な言及はなかった。表明のタイミングについても「今すぐ、いつと申し上げることはできない」とした。

 斎藤氏の疑惑をめぐる告発文書では、パワハラや贈答品受領など、7項目の疑惑を指摘。県民局長だった男性が報道機関などに送付後、県の公益通報窓口にも通報した。ところが、県は公益通報者保護法の対象外と判断し、男性は停職3カ月の懲戒処分を受けた後に死亡した。自殺とみられる。

 8~9月に行われた県議会の調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏は、公務で施設を訪れた際、公用車を降りた後に約20メートル歩かされたことで職員を叱責したという疑いや、職員に付せんを投げた疑い、さらに深夜や休日のチャットで業務を指示していた問題などについて尋問された。斎藤氏は「記憶にない」などと否定している。

 議会での不信任案可決には、議員定数(86議席)の3分の2が出席で、4分の3の賛成が必要。斎藤氏は今後、10日以内に議会を解散するか、失職するかの選択をすることになる。この日の議会前に、報道陣の取材に答え、「その結果を見て判断したい。仮に成立した場合には法律の規定に沿って、自分としてどのような判断をしていくべきかさまざまな選択肢というのを考えていく」と、これまでと同じ主張を繰り返していた。

 都道府県知事に不信任案が可決されたことは過去4例あるが、失職が2例、辞職が2例で、議会解散を選んだ知事はいない。

◇兵庫・斎藤知事告発文書の疑惑7項目
(1)人事=ひょうご震災記念21世紀研究機構の副理事長2人が突然解任
(2)知事選=2021年知事選で幹部職員らが斎藤元彦氏の選挙を手伝い
(3)知事選=次期知事選に向けた投票依頼のため、商工会などに出向いた
(4)贈答品受領=地元企業からコーヒーメーカーやロードバイクなどを受け取った
(5)パーティー券=副知事らが斎藤氏の政治資金パーティー券を商工会などに大量購入させた
(6)優勝パレード=阪神・オリックス優勝パレード費用を信用金庫などから不正に集めた
(7)パワハラ=机を叩いて激怒したり、職員を怒鳴り散らしたりした

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