斎藤元彦兵庫県知事 全会一致で不信任案可決 全国5例目 27日議会解散?敵対会派に最後の一矢狙う?
2024年09月20日 04:40
社会
午後5時過ぎに始まった不信任決議の採決。斎藤氏は不信任に賛成の「白票」が積み上がっていく議場で、表情一つ変えず一点を見つめていた。過去に例のない議会解散を選ぶのか。終了後に報道陣に応じたが「しっかり受け止めなければならない」「これからしっかり考えていきたい」などと繰り返すのみ。「考えて決断を出す中でタイミングについてはあらかじめお伝えしたい」とした。
一方、全会一致で不信任を突き付けた議会側も知事側に解散カードを与えた形。出血を伴いかねない「もろ刃の剣」状態だ。解散選択時の表明日「10日以内」の期限の29日は日曜で、表明は最後の平日となる27日説が浮上。自民党総裁選の投開票日で、有権者の判断材料に裏金問題が少なからず影響しそうだ。
さらに、県議選は40日以内に実施されるため、10月下旬~11月上旬に予想される次期衆院選と重なる。自民党は裏金問題の直撃を受け、公明党は現職のいる兵庫県内2小選挙区で維新との直接対決を控えており、県議選は活動量の低下が懸念される。その維新の県議は所属21人のうち15人が1期目。8月の大阪府箕面市長選で維新現職が敗れたばかりで、議席維持は厳しい状況とみられている。
とはいえ、改選後の再度不信任案可決のハードルは下がり、過半数の賛成。しかし、これを阻止するだけの知事系議員を誕生させるのは極めて困難で、斎藤氏は既に詰んでいる状態。議会関係者はあくまでも解散カードを残す斎藤氏に「敵対した会派の議席数を少しでも減らし、一矢報いたい思いもあるのではないか」と話した。
ただ、斎藤氏がどの道を選択しようと知事選実施は不可避。18億円の税金が投入されるが、解散して県議会選挙を行えば、さらに16億円かかる。県政の混乱は長引くばかりで、さらに多額の税金が投入される判断に兵庫県民からは「うんざり」の声が上がっている。
◇斎藤県政の経過◇
▽2021年7月 斎藤元彦氏が兵庫県知事に初当選
▽9月 前知事が公用車に導入した高級車センチュリーを解約し、公約に掲げた知事給与などの削減を表明
▽24年1月 不妊治療支援に特化した条例を制定すると表明
▽3月27日 自身のパワハラ疑惑などを告発する文書について「うそ八百」と記者会見で非難
▽5月7日 県が文書は「誹謗(ひぼう)中傷」として作成した県西播磨県民局長だった男性を懲戒処分
▽6月13日 調査の中立性に疑問が噴出し、県議会が百条委員会を設置
▽7月7日 男性が死亡
▽8月30日~9月6日 百条委に証人として2度出頭
▽9~12日 県議会の全県議が辞職要求
▽19日 斎藤氏の不信任決議を可決