袴田巌さん再審で無罪判決 逮捕から58年、戦後5例目 静岡地裁判決「3つの捏造がある」

2024年09月27日 04:30

社会

袴田巌さん再審で無罪判決 逮捕から58年、戦後5例目 静岡地裁判決「3つの捏造がある」
帰宅した姉ひで子さん(右)から無罪判決の報告を受ける袴田巌さん(袴田さん支援クラブ提供) Photo By 提供写真
 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で味噌製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)に対するやり直し裁判(再審)で静岡地裁は26日、無罪判決(求刑死刑)を言い渡した。国井恒志裁判長は確定判決が犯行時の着衣と認定した「5点の衣類」など検察側が示した証拠について「3つの捏造(ねつぞう)がある」と断じた。
 えん罪を訴え続けた袴田さんは66年8月の逮捕から58年以上を経て無罪に。超長期の拘留と死への恐怖などから幻覚などの拘禁症状が出ている袴田さんに代わり出廷したひで子さん(91)は会見で「“主文、被告人は無罪”というのが神々しく聞こえました。それを聞いて涙が止まらなかった」と目頭を熱くした。袴田さんは自宅がある浜松市で過ごした。支援者から「いいことがあった」と伝えられ、日課の散歩へ。通行人に「本当によかった」と声をかけられるも聞こえていない様子だった。

 死刑確定後の再審で無罪が言い渡されるのは89年1月の「島田事件」以来戦後5例目。過去4例は検察が控訴せず無罪が確定。今後、検察が控訴するかどうかが焦点となる。

 国井裁判長は判決理由で(1)5点の衣類(2)その一つのズボンの端切れ(3)自白したとする調書に捜査機関による捏造があると指摘。主な争点となった5点の衣類は事件から1年2カ月後に会社の味噌タンクから発見。その衣類に残った血痕の赤みについて「1年以上味噌漬けされた場合、赤みが残るとは認められない」と弁護側の主張を支持した。

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