こだわり旬の旅
【神奈川・横須賀&川崎】東京湾に黒船登場!ペリーゆかりの地巡るクルーズで江戸末期へタイムトリップ
2024年04月05日 15:00
社会
「カッコイイね~」。午前10時、久里浜港に黒船が入港すると、乗船を待つクルーズ客から感嘆の声が上がった。黒を主体に船底などに赤をあしらった精悍なスタイル。フェリー船としては確かに二枚目で、圧倒的な存在感だ。
黒船フェリーに生まれ変わったのは「しらはま丸」(3351トン、旅客定員580人)。改装費は横須賀市の補助金600万円を含めた総額1000万円で、外装は東京湾フェリーのポスターなどを手掛けるイラストレーターの大塚洋一郎氏が、本物の黒船(サスケハナ号)をモチーフにデザイン。全長(78・8メートル)が黒船(78・3メートル)とほぼ同じなら、速度も13ノット(約24キロ)に対し、黒船10ノット(約19キロ)と差はない。黒船の大きさと速さが実感できるというわけだ。
この日のクルーズは「ペリー来航の足跡と横須賀の伝説を辿る」コース。心躍らせながら乗船すると、船内にも“黒船ワールド”が広がる。ペリーの全身絵やペリーの久里浜上陸図、黒船来航絵巻など、布やラバーで作られた当時の絵図や写真、イラストを各所にあしらい、黒船来航の歴史やストーリーを展示。見ているだけで江戸末期の緊迫した雰囲気が伝わってくる。
売店でも就航記念のポストカードやカレンダーなどのほか、新メニューの「黒船くじらコロッケ」(200円)を販売。ペリーが日本に開国を迫った理由が捕鯨基地拡大だったことにちなんだもので、中は真っ黒で驚いたが、黒船&くじららしくて、味も良かった。
久里浜港を出港した黒船は、黒船艦隊が久里浜上陸の際にイカリを降ろしたあしか島付近、ペリーも見たといわれる浦賀港入り口に建つ灯台・燈明堂、ペリーが海図に「ペリーアイランド」と書いたという猿島など、ペリーゆかりの地付近を約3時間半にわたり周航。ポイントに近づく度、船内アナウンスでガイドが解説してくれるので、歴史的背景がよく分かる。
あいにくの曇天で景観はもう一つだったが、船内ではフラダンスショーやミニコンサートなどが行われ、坂本龍馬に扮した人物も登場。エンターテイメントも豊富で、飽きることはない。
「横須賀を“黒船来航の地”として広く周知し、市、観光協会、商店街とともに観光促進を図りたい」と東京湾フェリー。170年ぶりによみがえった“黒船”が文明開化ならぬ観光開花をもたらすか、注目される。
▽行かれる方へ 京浜急行京急久里浜駅からバスで約10分。車は横浜横須賀道佐原ICから約10分。久里浜、金谷両港から乗船できる「黒船でいく!横浜港特別クルーズ」(参加費税込み7000円)が6月2日に行われる予定。問い合わせは東京湾フェリー=(電)046(830)5622。