カトパン突撃!リオ五輪リレー銀の桐生はお祭り男 勝利の女神はさんま!?

2016年12月27日 08:30

陸上

カトパン突撃!リオ五輪リレー銀の桐生はお祭り男 勝利の女神はさんま!?
東洋大の学食で桐生祥秀とランチする加藤綾子(左) Photo By スポニチ
 カトパンことフリーアナウンサーの加藤綾子(31)が2020年東京五輪で活躍が期待される若きオリンピアンの原石たちに迫る企画「東京五輪 伝説の胎動」。第3回は陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(21=東洋大)。リオ五輪では400メートルリレーで歴史的な銀メダルを獲得。「陸上競技はメンタルです」という男の“勝利のルーティン”は「さんまと大吉」だった。
 −−おいしいし、広いし、メニューも豊富で素晴らしい学食ですね!ある団体の学食ランキングでは3年連続1位で殿堂入りしたそうですよ。

 「おいしいから、みんなここに食べに来ます」

 −−量も凄い。カボチャ大盛りですね。

 「野菜嫌いなのに唯一カボチャだけ好きで」

 −−野菜嫌いのアスリートは意外に多いですね。好きなものは?

 「ハンバーグ、コロッケ、ラーメンとか小学生が好きな食べ物ばかり食べてます」

 −−リオ五輪リレーの銀メダルメンバーとは?

 「この前、4人で食べに行きました。みんなよくしゃべるので楽しいです」

 −−どんな話を?恋愛の話とか。

 「プライベートな話が多いです。陸上の話はあまりしてないかもしれません」

 −−誰が一番しゃべります?

 「みんなよくしゃべりますよ(笑い)」

−−世界の舞台を共にした仲間ですもんね。

 「はい!僕が一番年下だけど、最初から先輩たちが優しかったです」

 −−今振り返ると100メートル予選はどうでした?

 「ボルト選手と一緒だったんで、前半行かなきゃと焦りすぎました。でも、その失敗がリレーの走りにつながって。前半焦らずに自分のペースで行こうと」

 −−メンタルな部分が大きいんですね。

 「陸上競技はメンタルだと思います」

 −−試合前はどんなふうに過ごすんですか?

 「明石家さんまさんが凄く好きで。番組を録画したDVDを見るんです。普段の状態で試合に臨みたくて」

 −−さんまさんが勝利の女神?

 「僕、さんまさんに会いたいが故に、無理して新幹線グリーン車に乗るくらいで。奇跡的に会えないかと思って」

 −−凄いですね!普段からメンタルも含めて気をつけていることは?

 「ないですね。普段は陸上のことはあまり意識しません。陸上の話って、多くの人にはそんなに面白くないと思うんですよ(笑い)」

 −−そんなことないですよ!(笑い)悩みは?

 「普段から悩みもストレスもないです」

 −−凄いですね。切り替えが早いんですね。

 「やっぱり陸上は自分がダメだった部分をしっかり見て、それをどう直して次に合わせていくかを考える方が良い結果が出ると思います」

 −−リオではリレーがあってよかった?

 「そうですね。こんな僕でも100メートルだけだったら、ションボリして帰国してました」

 −−快挙の裏には切り替えがあったんですね。バトンはどんな練習を?

 「どんなこと?これはなかなか言葉では難しく…。そうだ!ちょっと立ってやりましょう」

 −−はい!

 「こんなふうに下からバトンを渡すんです。でも意識的にはポンと平行に入れる感じで」

 −−意外!実は平行なんですね。

 「そうなんです。スッと入れる感じで」

 −−メンバーの仲が良かったのも大きい?

 「そうですね。やっぱり仲が悪かったらバトンの間でギスギスするんですよ」

 −−ミスしたら、アイツのせいだ!みたいな(笑い)

 「ホントそうなんですよ。僕らそういうの全然なかったですから」

 −−「3走」という順番はどうでした?

 「これまでの大会とかでも走ったことがあったので抵抗はなかったです。ただ、テンション上がりすぎてバトンをもらった瞬間のことは覚えてなくて。途中からの記憶しかなくて」

 −−そうなんですか!どんな気持ちで走っていたんですか?

 「僕の前の人が中国の100メートル9秒台のスプリンターだったので、その人を追い抜くことしか考えていなかった」

 −−スタートからの順位は見ているんですか?

 「それは見てないです。他のチームは見ないので」

 −−そうなんですか!

 「今回みたいに3走の時は、1走のことも見ないです。スタート見ると緊張するので。ボーッと周り眺めてから目をやると、ちょうど2走の飯塚さんにバトンが渡るところで。そこからは飯塚さんしか見ないです」

 −−そんな感じなんですね。順位も知らずに。

 「はい。ただ飯塚さんだけを見て。そして自分が最後のケンブリッジさんにバトンを渡してから、あの順位だと初めて気がつきました」

 −−走るフォームは変える時ありますか?

 「試合ごとに変えてます。思いついたら」

 −−思いつき!?それでいいんですか(笑い)。本能で走ってる?

 「僕、いつも運動会みたいな感覚なんですよ。お祭りみたいに楽しくやって、その中で1番ならいいなっていう。練習の時のテンションじゃなくて、試合は全力で楽しまないと!」

 −−凄いですね。

 「あと、結果がタイムに出るんで分かりやすい。パッと見て自分の調子とかが一発で分かるっていうのがいいですね」

 −−走る時の風は?

 「僕は影響ある方で。体を反って走るので、向かい風が苦手で。どうやって克服するのかというのはあります。だから新年お参りに行かないと。今年も大吉だったんですけどね」

 −−凄いですね。

 「おみくじ15回引いたんですけどね」

 −−引きすぎですよ!

 「毎年、大吉出るまでやるんです。あれって基本は1回?」

 −−もちろんです!でも毎年、大吉っていうのもいいですね(笑い)

 「神社の思うツボなんですけどね(笑い)」

 −−男友達と遊ぶのが多いですか?

 「そんなこともないです」

 −−リオ五輪に打ち込むため彼女つくらなかったとか?

 「全くないです。エッ!?加藤さんはそうだったんですか?」

 −−いえ、恋愛は…しちゃいますね(笑い)

 「人間だったんですね(笑い)」

 −−人を何だと思ってたんですか!女性のタイプはありますか?

 「本田翼さんとか、ガッキー(新垣結衣)とか好きです」

 −−どんなところ?

 「顔、いや、スタイルも。やっぱり全部好きです(笑い)」

 −−桐生選手は引っ張るタイプ?

 「ここ行こう!って言っちゃいます。映画でも食事でもどこでもいいんです。苦手なのは人が多すぎる渋谷のハチ公前くらいで。静かな滋賀県生まれなんで。とにかく一緒に楽しめる、元気な子がいいです」

 −−来年ロンドンで世界選手権があります。

 「やはり決勝進出。もちろんベストタイムも出したい。あとは結果の振り幅をなくしたい。テンション上がったり下がったりが激しいので、狙った大会は常にベストで臨めるようにしたいです」

 −−テンション上がるのはどんな時?

 「観客が多い大会。観客がいない静かな大会は苦手です」

 −−となると、2020年東京五輪は楽しみですね。

 「一つはリレーの代表メンバーに入って、今度目指すのは“金”しかない。個人では決勝に残って、しっかり人々の記憶に残る選手になりたい」

 −−記録よりも記憶?

 「記録はもちろん残さなきゃいけない。でも、今のまま10秒01で終わったら記憶には残らない。9秒台で走って、その記録を伸ばしていけたら記憶にも残ってもらえる。そう、思うんです」

 ◆桐生 祥秀(きりゅう・よしひで)1995年(平7)12月15日、滋賀県彦根市出身の21歳。洛南高3年時の13年に100メートルで日本歴代2位となる10秒01をマーク。14年に東洋大に進学し、15年3月には追い風3.3メートルの参考記録ながら、9秒87を叩き出した。今年6月にも再び10秒01を出し、リオ五輪の100メートルは予選落ちだったが、400メートルリレーは3走を務めて銀メダル獲得に貢献。1メートル75、68キロ。

 【取材後記】「エッ?何ですか、それ」。質問がちょっとでも長いと間髪置かず、この反応が返ってきます。さすが日本人初の9秒台を狙う俊足。答えも“瞬速”です。

 「すぐに(答えを)返してポンポンしゃべりたいんですよ。早くしゃべりたいんですよ」

 大好きなさんまさんにそっくり。レース前にさんまさんのDVDを見るのは「普段の状態で臨むため」だけじゃなく“お笑い怪獣”の超速のテンポ感がコンマ何秒の争いに不可欠な爆発力を生むのかもしれません。

 生まれつきのお祭り男。「リオの観客はサンバを踊るなどずっと騒いでいて、雰囲気が凄く良かった」。昨年3月に米国で参考記録ながら9秒87を記録した時も「観客がビール飲んでお祭りみたいで最高だった」。盛り上がれば盛り上がるほど本能が爆発するのです。日本人が10秒の壁を越えるには、この野性的な本能や爆発力が必要なのかもしれません。あとは私たちが彼をいかに盛り上げられるか。記録にも記憶にも残る選手とは、私たちの声援に懸かっているのかもしれません。 (加藤 綾子)

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