貴親方、稀勢に感じた「風格」 横綱の責任果たし殻ひとつ破った

2017年03月27日 08:05

相撲

貴親方、稀勢に感じた「風格」 横綱の責任果たし殻ひとつ破った
優勝決定戦で、照ノ富士を小手投げで破った稀勢の里 Photo By スポニチ
 【大相撲春場所千秋楽 ( 2017年3月26日    エディオンアリーナ大阪 )】 平成の大横綱の貴乃花親方が、新横綱で優勝した稀勢の里を祝福した。自身も95年1月の初場所で新横綱として優勝。01年5月の夏場所では、14日目に右膝を亜脱臼しながら千秋楽に強行出場。優勝決定戦で武蔵丸を下し、日本中の感動を呼んだ。貴乃花親方は自身と同じようにケガを押して土俵に上がった稀勢の里の頑張りを称えた。
 稀勢の里は本当によく頑張りました。逆転での優勝は横綱としての責任を果たした結果で、立派だと思います。

 13日目の日馬富士戦で左肩辺りをケガしたと聞きましたが、得意の左おっつけが出せるのかと心配しながら見ていました。14日目は鶴竜にあっけなく負けてしまい、千秋楽も厳しい戦いになるのかな、と。本割では左に変化して、痛めた左をなんとかねじ込もうとし、照ノ富士の動きを止めたことが良かったと思います。押し込まれながらも、うまく回り込んで右からの突き落としで勝利をもぎ取りました。

 こうなると勝っている方が気持ちに余裕が出てきます。決定戦で支度部屋に戻ってきた稀勢の里の顔を見たのですが、実にどっしりとしていました。大関の時には自信がなさそうだったのに、横綱になり、本当に殻をひとつ破ったようです。風格というか、堂々としたものを感じました。立ち合いで相手にもろ差しを許しながら放った右からの小手投げは執念でした。絶対に優勝するという強い気持ちが相撲に出ていたと思います。照ノ富士も左膝が万全ではないうえ、疲れが出たのか、足が送れていませんでした。

 新横綱で優勝したのは1995年1月の初場所の私以来と聞きました。当時を振り返ると、新横綱では横綱土俵入りなどで気持ちも体力も使い、取組になかなか集中できなかった気がします。初日に武双山に上手投げで敗れて、黒星スタートでした。負けたことで逆に“ようし、やってやろう”と開き直って、その後の場所に臨めました。中日にも魁皇に負けたのですが、最後まで気力を振り絞って賜杯を手にすることができました。優勝したときには横綱の責任を全うすることができ、やっと終わったと安どの気持ちしかありませんでした。稀勢の里も同じ気持ちだと思います。

 心配なのは左肩のケガの状態です。私も2001年5月の夏場所で優勝した時、右膝をケガしてしまいました。結果的に力士生命を縮めてしまったのですが、ケガと闘うこともこれからは大事です。まずはしっかりと治して、体のケアをして、四股やてっぽう、すり足と基本運動をこなせば、まだまだ優勝を重ねられると思います。(元横綱・貴乃花)

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