川内 ボストン初制覇!アフリカ勢抑える激走に待望論の可能性

2018年04月18日 05:30

マラソン

川内 ボストン初制覇!アフリカ勢抑える激走に待望論の可能性
ボストン・マラソンの男子で初優勝し、ガッツポーズする川内(AP) Photo By AP
 【第122回ボストン・マラソン ( 2018年4月16日    米マサチューセッツ州ボストン )】 “最強市民ランナー”川内優輝(31=埼玉県庁)がワールドマラソンメジャーズとして名高い世界最古のレースを2時間15分58秒で初制覇した。日本男子の優勝は1987年の瀬古利彦(現日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)以来31年ぶり。17年ロンドン世界選手権を期に代表からは身を引いたが、アフリカ勢を抑えての優勝に、20年東京五輪へ向け待望論も高まりそうだ。
 この結末は誰も予想していなかったに違いない。川内を除いては。低温に加え雨風が強まるという、誰もが顔をしかめる悪天候だったが、川内だけは大歓迎していた。「雨のレースは失敗したことがない。私にとっては最高のコンディション」。今年1月にはマイナス17度でも意気揚々と走った“最強の男”が、日本人男子31年ぶりの偉業を達成した。

 大方の予想に反して、スタート直後からいきなり逃げた。現地実況は川内の逃げを「クレージー」と笑ったが、その2時間後には泥くさく走り続ける日本人選手に「アンビリーバブル」と驚嘆することになるとは思いもしなかっただろう。

 昨年の世界選手権覇者ジョフリー・キルイ(ケニア)ら実力者を抑えての勝利に「コースやコンディションを選んでいけば金メダリストにも勝てることが分かった」。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「びっくりした。まさか勝つとは」と驚きを隠せず、さらに「私が出ていたときより強い選手がたくさん出ている」と手放しで称賛した。

 川内自身は酷暑の東京五輪出場を明言していないが、この1勝で待望論が高まる可能性は十分ある。日本代表として出場した過去3度の世界選手権では流せなかった「君が代」は、ボストンの地で聴いた。くしくも当日は米国の「愛国者の日」。「表彰式で国旗が揚がったのを見て感動した」と目に涙を浮かべて感慨にふけった。この男からは、まだまだ目が離せない。

 ▼ボストン・マラソン 1897年に始まった世界最古の大会。毎年4月の第3月曜日の愛国者の日に行われる。日本人選手は川内を含め8人が優勝を果たしている。2013年にはスタートから4時間を過ぎたころにゴール付近で爆弾テロ事件が発生し、大会が途中で打ち切られた。

 ▼ワールドマラソンメジャーズ 世界の主要マラソン6大会(ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ、東京)をポイント制で総合優勝を争うシリーズ。06年から始まり、東京は13年から参加。制度が始まってからの優勝は、日本男子では川内が初。総合では06〜07年シーズンに女子の土佐礼子が総合10位に入ったのが最高位。

 ▼東京五輪マラソン男子代表争い 来季(18〜19年)の国内主要5大会で日本陸連が定めた順位、記録をクリアするか、国際大会で上位の成績を収めることで19年9月以降開催予定の代表選考レースマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)に出場できる。MGCで2枠を決定し、もう1枠は19年冬以降の「ファイナルチャレンジ」で派遣設定記録を上回り最も速いタイムを出した選手が選ばれる。川内はすでにMGCの出場権を獲得している。

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