【競泳日本選手権兼五輪代表選考会第5日 ( 2021年4月7日 東京アクアティクスセンター )】
圧巻の泳ぎに女王の風格が漂った。池江は100メートル自由形の準決勝で54秒36をマークし、全体トップで8日の決勝に進出。「100メートル(自由形)の王座奪還はまだ先になると思っていたけど、奪還できるように頑張りたい」。メドレーリレーの五輪切符を獲得した100メートルバタフライに続く優勝とともに、53秒31の個人種目の派遣記録も視界に捉えた。
予選は54秒30で、いきなり400メートルリレーの派遣記録(54秒42)を上回った。1月の北島康介杯からタイムを1秒05縮め、昨年度の日本ランキングでは1位相当の好記録。準決勝は「前半流して、後半上げようと考えて泳いだ」と前半50メートルを27秒22の7番手で折り返しながら、後半は滑るように加速して27秒14の驚異的なラップを刻んだ。「決勝は前半から思い切り上げたい」と伸びしろを感じさせた。
4日に決勝が行われた100メートルバタフライ後は「体がこんなに重いのは経験したことがない」と語るほどダメージが大きかった。白血病が判明する前はクールダウンなどにこだわっていなかったというが「2年たって戻ってきて、18歳の頃のようにはいかないと痛感した」と苦笑い。レース前後の入念なケアに加え、「(リレー代表条件の)4番で良いかな」という心持ちが好記録につながった。
大会前から「楽しみが大きい」と語っていた種目。「この感じでいくと53秒台は出るかな。楽しみイコール、自信があると捉えてもらえたら」。2冠と2枚目の五輪切符へ力強く言い切った。