林享氏 今大会総括と五輪展望、池江は脚力、腕力をどこまで戻せるかがメダル獲得への鍵

2021年04月11日 06:00

競泳

林享氏 今大会総括と五輪展望、池江は脚力、腕力をどこまで戻せるかがメダル獲得への鍵
女子50㍍自由形決勝で優勝を果たす池江(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 【競泳日本選手権兼東京五輪代表選考会最終日 ( 2021年4月10日    東京アクアティクスセンター )】 池江は今大会100メートルのバタフライと自由形でそれぞれ3本ずつ泳いでおり、この2日間の50メートル2種目は相当な疲れがある中でのレースだったと思う。その中でタイムを落とさずに勝ったことは素晴らしい。
 最後の50メートル自由形決勝はスタートも良く、24秒中盤までいくかと思われたが、さすがに最後はバテて伸びなかった。まだ25メートルまでの通過タイムは3年前と比べると約0秒5遅い。スタート台を蹴る力や押す力は十分ではない。本来なら15メートル付近までドルフィンキックを打って浮き上がりでは他の選手より体半分リードしているが、ドルフィンキックの回数を減らしており、序盤で先行できていない。技術だけで泳いで、このタイムは凄いとも言える。脚力や腕力をどこまで戻せるかがさらなるタイム向上の鍵だろう。

 今大会で優勝した五輪3種目は本番でも泳ぐ可能性は高い。今のタイムで決勝に残るのは難しいが、この2~3カ月で100メートルのバタフライと自由形のいずれも1秒以上タイムを縮めたことを考えれば、さらに1秒以上伸ばすことも可能だろう。決勝やメダルの可能性も十分あると思う。

 日本代表としては、男子200メートル平泳ぎの佐藤と200メートル自由形の松元が楽しみな存在だ。重圧のかかる選考会で日本記録を出せたことは大きい。ともに金メダルを狙える。また、100メートルバタフライの水沼と川本もハイレベルな記録で泳いでおり、メドレーリレーを含めてメダルの期待が膨らむ。彼らは五輪の経験がないが、瀬戸、萩野、入江ら実力者がチームとして引っ張っていってほしい。女子では長く低迷していた自由形の中長距離に復活の兆しが見えた。難波と小堀は若いので、伸びしろにも期待できる。女子を盛り上げていってほしい。(92年バルセロナ五輪100メートル平泳ぎ4位、東海学園大監督)

 ▽競泳日本選手権の多種目優勝 最多は5冠で、13年の萩野(200メートル&400メートル自由形、100メートル背泳ぎ、200メートル&400メートル個人メドレー)、17年の池江(50&100&200メートル自由形、50&100メートルバタフライ)が達成。池江は前回出場した18年大会で出場全種目で日本記録を出して4冠(50メートル&100メートル自由形、50メートル&100メートルバタフライ)を成し遂げている。

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