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大の里 大関昇進の口上「唯一無二」は父の教え 次は輪島の21場所を上回る最速横綱で唯一無二に

2024年09月26日 04:30

相撲

大の里 大関昇進の口上「唯一無二」は父の教え 次は輪島の21場所を上回る最速横綱で唯一無二に
<大の里大関昇進伝達式>大関昇進が決まり笑顔を見せる大の里(撮影・西尾 大助) Photo By スポニチ
 日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、秋場所で2度目の優勝を果たして直近3場所合計34勝を挙げた大の里(24=二所ノ関部屋)の大関昇進を満場一致で決定した。初土俵から所要9場所での史上最速昇進。唯一無二の記録をつくった24歳は、茨城県阿見町の同部屋で行われた大関昇進伝達式で、その先の地位を目指すことを誓った。
 力強い言葉に決意を込めた。大の里が大関昇進伝達式で述べた口上は「大関の地位を汚さぬよう、唯一無二の力士を目指して相撲道に精進します」。入門から1年半、角界での経験は浅いながらも緊張した様子を見せず、土俵上の立ち居振る舞いと同じように堂々とこなした。

 口上の言葉は、父・中村知幸さんの教え。高校生の頃から、事あるごとに「唯一無二になってくれ」と声をかけられていたという。新潟・海洋高の恩師に相談した上で「完璧だと思った」と迷わず決めた。「他に類を見ない、このような人はもう現れないってぐらいのお相撲さんになりたい」。大銀杏(おおいちょう)の結えないちょんまげ姿の力士が昇進伝達式に臨むのは史上初。母校の海洋高からも、日体大からも初。まさに唯一無二の存在だ。

 速すぎる出世スピードに実感が追いついていかない中、大関の自覚が芽生えてきた。これからは協会の看板として見られる立場になる。「責任ある番付。“大関とは”ということをもっと勉強して、気を引き締めて頑張りたい。その結果が上にも結びつくと思う」。つい1年半前までは大学生だった24歳が、角界を担う決意を口にした。

 もちろん、ここがゴールだとは思っていない。「常に“上へ上へ”をモットーにして頑張っていきたい。もう一回伝達式をできるチャンスがある。自分でしっかり勝ち取って、その先に向けて頑張りたい」とさらなる高みを見据えた。26年名古屋場所後までに横綱昇進を果たせば、年6場所制となった1958年以降では輪島の21場所を上回る最速横綱の誕生となる。大関の地位を通過点に記録を塗り替え続け、唯一無二の横綱へと駆け上がっていく。 (前川 晋作)

【大の里はこんな力士】
 ☆本名 中村 泰輝(なかむら・だいき)
 ☆生まれ 2000年(平12)6月7日生まれ、石川県津幡町出身の24歳。
 ☆サイズ 1メートル92、182キロ。
 ☆相撲歴 津幡小1年から地元の相撲教室で相撲を始め、卒業後に新潟県の能生中に相撲留学。海洋高1年で高校総体個人戦準優勝。日体大では1年時に学生横綱、3、4年時に2年連続アマ横綱など13冠。
 ☆しこ名 大正末期から昭和初期に活躍した小兵の名大関・大ノ里から。
 ☆初土俵 二所ノ関部屋に入門し、23年夏場所で幕下10枚目格付け出しでデビュー。
 ☆スピード出世 所要4場所で今年初場所入幕、同6場所で三役に昇進。
 ☆優勝 2回。今年夏場所に所要7場所で最速優勝。
 ☆三賞 殊勲2、敢闘3、技能3。
 ☆得意 突き、押し、右四つ、寄り。
 ☆験担ぎ 勝っている時は同じ化粧まわし、同じ浴衣、下着を使用。負けるまで替えないことが多い。
 ☆好きな言葉 「信は力なり」。ドラマ「スクール☆ウォーズ」から。
 ☆趣味 部屋の周辺を散歩。寺社巡り。
 ☆家族 両親と妹。

【大関昇進アラカルト】
 ☆初土俵から所要9場所 昭和以降の幕下付け出しでは、豊山と雅山の12場所を上回り最速。
 ☆新入幕から所要5場所 年6場所制となった1958年以降、大鵬の6場所を上回り最速。
 ☆三役スピード通過 3場所通過は昭和以降8位タイの速さ。58年以降では照ノ富士の2場所に次ぐ2位タイ。
 ☆学生相撲出身 豊山、輪島、朝潮、出島、武双山、雅山、琴光喜、朝乃山、正代、御嶽海に続いて11人目。日体大出身では初。
 ☆幕下付け出し 豊山、輪島、朝潮、出島、武双山、雅山、琴光喜、御嶽海に続いて9人目。
 ☆石川県出身 99年名古屋場所後の出島以来。昭和以降では輪島を含めて3人目。
 ☆二所ノ関部屋 70年秋場所後の大麒麟以来。元横綱・稀勢の里が師匠となってからは初めて。
 ☆令和の新大関 貴景勝、朝乃山、正代、御嶽海、霧島、豊昇龍、琴桜に続いて8人目。2000年代生まれは初めて。
 ☆全場所勝ち越し 昭和以降では羽黒山以来2人目。1958年以降では初めて。

【主な大関昇進の口上】
 ▽貴ノ花 「不撓(ふとう)不屈の精神で相撲道に精進します」(93年1月27日)
 ▽若ノ花 「一意専心の気持ちを忘れず」(93年7月21日)
 ▽貴ノ浪 「相撲道に勇往邁進(まいしん)する所存」(94年1月26日)
 ▽白鵬 「全身全霊をかけて努力」(06年3月29日)
 ▽琴奨菊 「万理一空の境地を求めて」(11年9月28日)
 ▽稀勢の里 「大関の名を汚さぬよう、精進します」(11年11月30日)
 ▽豪栄道 「大和魂を貫いて」(14年7月30日)
 ▽貴景勝 「武士道精神を重んじ感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進」(19年3月27日)
 ▽朝乃山 「相撲を愛し、力士として正義を全う」(20年3月25日)
 ▽正代 「至誠一貫の精神で相撲道に邁進」(20年9月30日)
 ▽霧島 「大関の名を汚さぬよう、今まで以上に稽古して頑張ります」(23年5月31日)
 ▽豊昇龍 「大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力致します」(23年7月26日)
 ▽琴桜「大関の名に恥じぬよう、感謝の気持ちを持って相撲道に精進してまいります」(24年1月31日)

 ▽大関の待遇 日本相撲協会の看板力士として、各種行事に横綱とともに参加する。月給は横綱の300万円に次ぐ250万円。関脇、小結より70万円高い。東京開催場所では両国国技館の地下駐車場を使って出入りが可能。2場所続けて負け越すと陥落するが、関脇に落ちた場所で10勝以上すれば翌場所に復帰できる。横綱昇進には2場所連続優勝か、それに準じる成績が必要とされる。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 力強く前に出る圧力と馬力のある相撲を見せてくれた。安定感があり立派だった。攻めの姿勢を忘れず、強い気持ちを持ってまた一つ上の番付を目指して、今まで以上に日々の稽古に精進してほしい。

 ▼高田川審判部長(元関脇・安芸乃島) 看板力士の姿は本人がつくっていくもの。彼は(立ち合いで)変化をする力士ではない。今まで通り前に出て相手を圧倒し、お客さんが喜ぶ相撲を取ってもらいたい。

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