21世紀枠で思い出す沖縄・宜野座高の明るさと型破りな野球

2021年03月21日 14:30

野球

21世紀枠で思い出す沖縄・宜野座高の明るさと型破りな野球
01年、21世紀枠出場で岐阜第一を破り歴史的勝利をあげた宜野座ナイン Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】具志川商(沖縄)のセンバツ初陣は雨で順延となった。対戦相手の八戸西(青森)も同じ21世紀枠選出だが、対極の風土で育った両校の対戦は楽しみが尽きない。
 21世枠といえばあの「旋風」を思い出す。01年に新設した同制度で、全国で無名の宜野座(沖縄)が初登場した。多くの人には温情で出場権を与えられた「お客さん」に映っただろう。見慣れないユニホームでグラウンドに立ったナインに対して「恥をかかないように頑張れよ」程度の目で見ていたはずだ。ところが宜野座はピンチでもにこにこしながら桐光学園、浪速ら強豪に競り勝ち、ベスト4進出。それはまさに「旋風」だった。夏も屈指の激戦区・沖縄を制し、春夏連続出場を果たした。

 沖縄本島のちょうど中央に位置し、人口5000人強の小規模の宜野座村で唯一の高校だが、躍進の裏には当時監督を務めた奥浜正監督のユニークかつ、合理的な指導法があった。ボールの右側(右投手)を指で切るように弾く、特有のカーブは落差が大きく、打者を手こずらせた。

 のちに奥浜監督を取材し、その変化球をスポニチ本紙で「宜野座カーブ」と名付けてメカニズムを報じると大きな反響があった。今も高校球児のバイブルである漫画「ラストイニング」(小学館)の中では主人公のチームが対戦した沖縄の投手が武器とし、「魔球」と紹介された。

 奥浜監督の指導はカーブに終わらなかった。長い竹竿で素振りさせるときは、下半身と上半身を逆方向に回転させている。さすがに「変なことやってる」と思った。巨人・阿部慎之助が「ツイスト打法」でセ・リーグの打撃タイトルを総ざらいする数年前のことだ。顧問の女性教師を「ちゃん」付けで呼び、練習中に監督が注意してもお喋りをやめない選手の大らかさも魅力だった。部員100人超の強豪校ではなくても甲子園で勝てる。それを証明した宜野座が21世紀枠の存続を決定づけたと言っても過言ではない。

 今回、具志川商を率いる喜舎場正太監督は33歳。20年前の宜野座旋風に胸を熱くした少年のひとりだ。「自分たちの野球が出来れば勝てる」という喜舎場監督の言葉はかつて同郷の先輩たちが実現した。投打にバランスのいい具志川商は、昨秋の県大会で16盗塁を飾った機動力も売りだ。喜舎場監督もまた甲子園初出場だが「どんな名将にも初出場はありますから」と明るく笑う。その笑顔に新たな歴史が生まれる予感がした。(専門委員) 
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