【独占手記】広島・大瀬良 進化見せた前半戦「やってきたことは間違いじゃない」 全セ唯一1回無失点

2024年07月25日 05:30

野球

【独占手記】広島・大瀬良 進化見せた前半戦「やってきたことは間違いじゃない」 全セ唯一1回無失点
<全セ・全パ>5回の1イニングを3者凡退に抑えた大瀬良(撮影・篠原 岳夫) Photo By スポニチ
 【マイナビオールスターゲーム2024第2戦   全セ10―16全パ ( 2024年7月24日    神宮 )】 「マイナビオールスターゲーム2024」第2戦が24日に神宮球場で行われ、両軍合計44安打26得点の乱打戦の中、広島・大瀬良大地投手(33)が5回1イニングを打者3人で料理する好投。全セで唯一無失点に抑え、5年ぶり3度目の舞台で力を誇示した。リーグトップの防御率0・82を誇り、6月7日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成するなど、右肘手術からの復活を強く印象づける今季。進化の要因は何か。スポニチに寄せた独占手記につづった。
 5年ぶりの球宴は純粋に楽しかった。試合は壮絶な乱打戦。無失点に抑えることができたのは、変化球を結構使ったからだと思う。真っすぐで押す投球はパワーピッチャーに任せ、前半戦でやってきた投球を心がけた。

 他球団の選手とも野球談議ができた。同学年の阪神・岩崎とは投球論、ロッカーが近かった近本君とは打者目線、投手目線で会話した。中でも近本君には、昨季と今季の打席の中での感じ方の違いを教えてもらった。いわく“変化球が多いけど、直球も強くなっており、消せないのでタイミングが取りづらい”と。“僕は相性がいいので、何でも打てる気がしますけどね”とも。後の話は単純に駆け引き。それも含めて興味深く聞いた。

 幸運にも、前半戦は一定の成績を残すことができた。3度目の右肘手術明け。成績に危機感はあっても、手術自体に不安はなく、リハビリや練習を頑張れば頑張った分だけ自分に返ってくる楽しみがあった。実際、成果はノーヒットノーランや防御率など望外の記録や成績に表れ始めている。やってきたことは間違いじゃない。そう実感できる。

 4月11日の阪神戦が分岐点だった。捕手の会沢翼さんに“シュートを使いたい”と事前に伝え、相当数のアウトが取れた。昨季も投げていた球種。違うのはプレートの位置で、一塁側から三塁側に変えた。当日は、甘いシュートでも“こんな反応をするんだ”と予想外の手応えが得られ、もっと自信を持っていいんだと思えた。

 カットボール主体の従来イメージを変えたかった。今季はシュートやフォーク、カーブを多投してくる。そんな意識付けを早めにしておきたかった。ちなみに、プレート位置を変えたのは生命線のカットをより生かすためだ。シュートを意識すると、右打者は外への曲がり球に届かない。相手打者に新しい大瀬良大地が映っているとしたら、シュートなどカット以外の変化球への信頼度が高まったことが大きいと思う。

 周囲の反応にも変化があった。首脳陣は当初、僕の状態を気遣って長いイニングを任せる気持ちがなかったと思う。ただ、内容が上向いた頃から“以前なら交代なのに、行かせてくれるんだ”ということが増えた。ローテーションの投手として“また信頼し始めてくれているな”と実感できる瞬間。会話でも、僕を気遣う感じが薄れてきた。良くも悪くも感じ過ぎる性格。気遣われると申し訳なく思う。良い表情が周りに増えてうれしい。

 勝負の後半戦。ここまで良い結果が得られている以上、アスリートとしてもっと上を目指そうという意欲は当然ある。ただ、今季はローテーションを守って規定投球回数を投げる、まずはそこから…という気持ちでスタートした。いろんなものを必要以上に背負うのではなく、最初に定めた目標に向かって腕を振りたい。その積み重ねで結果として、6年ぶりの頂点を目指す守り勝つ野球に貢献できればと思っている。(広島東洋カープ投手)

 <全セ>大瀬良が4番手で5回に登板し、3者凡退に封じた。チームの投手で唯一の無失点投球。2死後は万波からカットボールで空振り三振を奪った。「(打者は)真っすぐを待っていたんでしょうし、結構変化球が多かったので。普段通りのピッチングをしました」。前半戦では6月7日のロッテ戦でのノーヒットノーラン達成を含む4勝1敗、リーグトップの防御率0.82と好調の右腕が、存在感を示した。

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