乙武洋匡氏 選手や審判批判する前に柔道・篠原さん思い出して

2021年07月30日 05:30

芸能

乙武洋匡氏 選手や審判批判する前に柔道・篠原さん思い出して
サーフィン男子準決勝で五十嵐(右)と対戦したブラジル・メジナ Photo By 共同
 【乙武洋匡 東京五輪 七転八起(6)】連日、熱い戦いを繰り広げているアスリートたちから目が離せずにいるが、残念ながら“場外乱闘”も起こってしまっているようだ。
 サーフィン男子で銀メダルに輝いた五十嵐カノア選手のSNSには、ブラジルのファンと見られる人々から、「あなたは審判の助けがなければ何もできない」などの書き込みがあった。また、体操男子個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝選手にも、中国のファンと見られる人々から、「失敗したのに金メダルって凄いですね」などといった書き込みが寄せられている。

 スポーツには判定がつきものだ。陸上や水泳のように純粋にタイムを争う競技でなければ、人間の目が勝負を決めることとなる。自分たちが応援している選手やチームに少しでも不利な判定が下されれば、すぐに「この審判は不公平だ」などと憤ってしまうのが人情かもしれない。

 また、審判も人間である以上、ミスが生じてしまうこともある。しかし、選手たちの人生は、そうした判定のミスひとつで大きく変わってきてしまう。オリンピックの、それもメダルがかかっているような場面であれば尚更(なおさら)だ。だからこそ、審判の判定には、「人間だからミスもあるよね」という言葉では片づけられないほどの重みがあるのだ。

 誤審で思い出されるのは、2000年のシドニー五輪。柔道男子・100キロ超級決勝で、篠原信一選手が内股透かしを審判に見過ごされ、惜しくも金メダルを逃してしまった。この時も私たちの多くは熱くなって審判を酷評する態度を取ってしまったが、当の篠原さんは悔しさを噛(か)み殺して、こう言った。

 「弱いから負けた。それだけです」

 大会はまだまだ続く。今後、もしかしたら日本人選手に不利な判定が下される場面が出てくるかもしれない。そんな時こそ、心穏やかに篠原さんの振る舞いを思い返したい。少なくとも、私たちが“場外乱闘”でアスリートの妨げとなるべきではない。

 ◇乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年(昭51)4月6日生まれ、東京都出身の45歳。「先天性四肢切断」の障がいで幼少時から電動車椅子で生活。早大在学中の98年に「五体不満足」を発表。卒業後はスポーツライターとして活躍した。

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