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大橋 笑顔の2冠!夏季五輪では女子初 400個人メドレーに続いた

2021年07月29日 05:30

競泳

大橋 笑顔の2冠!夏季五輪では女子初 400個人メドレーに続いた
女子200メートル個人メドレー決勝、金メダルを手に笑顔の大橋悠依(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【東京五輪第6日 競泳 ( 2021年7月28日    東京アクアティクスセンター )】 歴史が動いた。女子200メートル個人メドレー決勝で大橋悠依(25=イトマン東進)が2分8秒52で優勝し、400メートル個人メドレーに続く2冠を達成した。日本女子の同一大会複数金メダルは夏季五輪初。競泳では男子平泳ぎで04年アテネ、08年北京で2大会連続2冠の北島康介以来となった。男子200メートルバタフライ決勝は本多灯(ともる、19=アリーナつきみ野SC)が1分53秒73の自己ベストで銀メダル。今大会の日本男子初の表彰台となった。
 涙腺ゆるゆるの大橋が泣かなかった。2位と0秒13差。タッチの差で金メダルを決めると、ペロリと舌を出しおどけた表情を見せた。夏季五輪で日本女子初の2冠。快挙を成し遂げたが「夢みたいで実感がない。本当に自分がやったことなのかな。びっくりしています」と感情が追いつかない。3日前の400メートル個人メドレー優勝後は何度も涙を流したが、今回は最後まで笑顔だった。

 緊張でガチガチだった400メートル決勝から一変。アップ後にチームメートがプールサイドに置き忘れたゴーグルに気付くほど冷静だった。前半のバタフライ、背泳ぎは「楽に速く。なめらかな泳ぎ」を意識。消耗を最小限に抑えながら100メートルのターンは2番手。続く平泳ぎでトップに0秒07差まで詰めた。自由形の最後15メートルは息継ぎをせずにスパート。残り3メートルで横を確認し「勝てる」と確信した。

 前日の準決勝は体力温存と、決勝でマークされやすい中央のレーンを避けるため、タイムを調整して全体5位。思惑通り第2レーンに入り「ラッキー。いい記録を出す時は1、2、3レーンが多い。相性がいい」と拳を握った。前夜は「心配性だから」とネットでライバルの過去のタイムやレース展開を調査。「ダメダメ」「ヘロヘロ」が口癖のネガティブで繊細な性格だが「自信はありました」と堂々とレースに臨んだ。

 初代表の17年世界選手権で銀メダルを獲得。その後は伸び悩み、18年秋には平井コーチに「自信がない。メダルを獲らない方がよかった」と漏らした。周囲の期待から壮行会などでは「金メダル」を宣言。本音は「そう言っておいたほうがいい」だった。19年世界選手権は200メートル個人メドレーで泳法違反を犯し失格。号泣してふさぎ込む中「競泳界のおかん」と慕う日本水連の村松さやか氏に声を掛けられた。「自信を持たないで泳ぐことは、頑張ってきた自分に失礼だよ」。どん底から救ってくれた言葉は今も心にとどめている。

 日本競泳陣が掲げた複数金メダルの目標を1人で達成。歴史的快挙で一気に知名度は上がった。東京五輪を集大成にしようと考えた時期もあったが「(来年の)世界水泳は福岡なので、出ようと思っています。やりたいことがあれば、そっちにいっちゃうかもしれないけど」と笑った。2つの金の重さは計約1112グラム。選ばれしアスリートしか体感できない至福の重みを首に感じていた。

 ◇大橋 悠依(おおはし・ゆい)1995年(平7)10月18日生まれ、滋賀県出身の25歳。草津東高から東洋大に進学し、平井コーチに師事する。17年世界選手権200メートル個人メドレーで銀。19年世界選手権は400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した。陸上の桐生祥秀と同郷同い年で、中学時代から顔見知り。1メートル74、57キロ。

 【日本の主な五輪2冠達成者】
 ★遠藤幸雄(体操)64年東京五輪男子個人総合、団体総合、種目別平行棒で3冠。

 ★中山彰規(体操)68年メキシコシティー五輪の男子団体総合、種目別つり輪、平行棒、鉄棒で日本最多の4冠。

 ★具志堅幸司(体操)84年ロサンゼルス五輪の男子個人総合、種目別つり輪で2冠。

 ★船木和喜(ノルディックスキージャンプ)98年長野五輪の団体、個人ラージヒルで金メダル。

 ★北島康介(競泳)04年アテネ五輪の男子100メートル、200メートルの平泳ぎで優勝。08年北京五輪も同種目で2大会連続2冠。

 ★内村航平(体操)16年リオデジャネイロ五輪の男子団体総合、個人総合で金メダル。

 ★高木菜那(スピードスケート)18年平昌五輪の団体追い抜き、マススタートで優勝。夏冬通じて日本人女子初の同一大会2冠。

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