2大会ぶり金メダルの国枝「一生分泣いた」「自分のテニスに迷い。重圧あった」
2021年09月05日 05:30
五輪

――今の率直な気持ちは。
「いやあ、信じられないのひと言です。勝利の瞬間もそう思ったし、マッチポイントの瞬間も全然覚えてない。日本陣営の岩見コーチや北嶋トレーナー、日本選手団のスタッフの顔は思い出せるんですが、最後の瞬間は全然思い出せないぐらい自分自身興奮した瞬間だったし、一生分泣いたし。枯れましたね」
――相手は170キロ以上を出すビッグサーバー。攻略するプランはどうだった。
「彼の速いサーブをどう攻略するかが一番のキーポイントであって、実際、そこに対してはいいリターンができたんじゃないかなと思います。ボク自身、一番の武器はリターンのミスの少なさと攻撃力なんで。170近いサーブにも結構合わせていくこともありましたいし、やってきたことが全て出せたと思います」
――選手団の主将。今だから言える苦悩や重圧は。
「こういう役目を受けると縁起が悪い、みたいなことを言われる。受けたあとは大丈夫かなと思ってたりしたんですけど、受けて良かったですね。結団式でも話したけど、ボク自身言葉で引っ張るタイプではなく、結果や自分自身のパフォーマンスでと思ってたので、こうして金メダルも取れて、日本選手団に貢献できてよかったなと思います」
――すぐ全米オープンがある。3年後にはパリも。今後について現時点の方針は。
「終わった瞬間、5歳ぐらい年取ったんじゃないかってぐらい急に疲れが今出てきているので、でも全米は明後日からニューヨークに出発したいと思います。頑張ります。全米が終わったら、ちょっとゆっくりしたいと思います」
――涙はどういう思いが詰まっていたのか。
「やっぱり重圧はかかっていたので。それに重圧があればあるほど、勝利した時の味ってのは格別なものになるって常々思っているので、本当に重圧があるからこそ、ああいうふうに勝利の瞬間に思い切り泣ける。やっぱパラリンピックの重圧というものをひしひしと感じた大会でしたし、正直なところ、パフォーマンスに関してはボール伸びてないなとか、硬いなとか、いろんな難しさを感じましたけど、やっぱり最後はテクニックじゃなくて、パラリンピックはメンタル勝負になるというのは経験上わかっていたので、そのメンタルで勝ちきったかなと思いますね」
――金メダルの重みはどう違う。
「一度リオで挫折を味わっているので。まさかこうして金メダルをまた首からかけられるというのは、北京、ロンドンとは全然違うものがありますね。それだけテニスの良さも怖さも身をもって感じているキャリアがあるので。勝つ難しさも年々感じてますし。まさか金メダルを取れるとは。何度も自分自身に“俺はできるんだ、俺は最強だ”と言い聞かせてますけど、心の奥底では今年の結果を自分自身分かっていたので、やっぱり疑う自分がいたし、心の中でその戦いはありましたね。本当に打ち勝ったなって思います」
――パラリンピックに対してはクールだったと思うが、あんなに泣いたのは。
「今年の3月ぐらいからですかね。迫ってきていて、グランドスラムよりも正直、常にこれが頭にあったってのはあります。グランドスラムは1年に4回チャレンジできますけど、パラリンピックは4年に1回なので。何としても取りたいなとい。もう1回金メダルを取って最強を証明したいというのは本当に思ってましたね。なので全豪オープン敗れて、全仏も敗れて、ウィンブルドンも敗れて、めちゃくちゃ焦ってましたね。そのたびに自分のテクニックも替えたし、自分自身を疑う気持ちが凄く出てきていたので、バックハンドなんてこの大会に入る1週間前ぐらいにようやく定まってきたところだったので。フォームだとか。あの時を考えると、こうして金メダルを掲げているのがうそみたいですね。それぐらい自分のテニスに迷いもあったし、眠れない日もあったし。重圧かかってましたね」
――5年前、若者が伸びているのを認めると。ここまで戻ってこられると信じていたか。
「もう99%信じてなかったです。それぐらい肘の問題もありましたし、自分自身のテニスが彼らのレベルに追いつけるのか、追い越せるのか、99・9%疑っていたんじゃないかと思います。でも、新しいフォームにトライして、痛みともお別れできて、ちょっとずつ軌道に乗ってきて、2018年に世界1位を奪還してという道のりは、リオが終わったあとは信じてなかったですし、こうしてまた金メダルを掲げているっていうのは、それこそ99・99%になりますね。それぐらい信じられなかったですね」
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