絶対的エースで主将が見た景色 石川祐希が目に焼き付けたこと
2021年09月26日 09:15
バレーボール

石川は絶対的エースとしては格の違いを見せつけた。東京五輪での112得点はチームトップで、全体でも8位。アジア選手権では五輪後に背中を痛めた影響で最初の2試合を欠場したが、最終的には5試合出場でチームトップの83得点と、やはり頼りになる存在だった。五輪では「決して悪いプレーではなかったし、自分たちの持っているものは出せた」と手応えもあった。
だが、主将としての満足感には、ほど遠かった。五輪は準々決勝ではブラジルに、アジア選手権決勝ではイランにそれぞれストレート負け。「悔しい。まだまだ実力不足だった」と痛感した。何より、勝利に導けず「反省」という二文字を口にした。
今年に入ってすぐ、石川へ一本の電話が掛かってきた。中垣内祐一監督(53)からの主将打診だった。「受けてくれるか?」。石川は迷うことなく「やらせていただきます」と返事した。
決意したのは「世界一のプレーヤーになるために必要だと思っていた」からだった。中大1年時からイタリアで挑戦を重ね、世界最高峰リーグの一つと称されるセリエAで活躍する主将たちに影響を受けた。
しかし、いざ主将になってみると壁にぶつかった。ネーションズリーグでは、チームとして思うような結果が出ずに7勝8敗の11位。宿舎では同部屋だった同学年の小野寺太志(25=JT)に「大変だなあ」と打ち明けたこともあった。それでも、背中で、プレーで引っ張った。要所で得点すると、何度も吠えてチームを鼓舞。小野寺が「彼はあまり話すのが得意じゃない。自分のプレーやアクションでチームを鼓舞して引っ張っていると思った」と話すように、石川らしさで、けん引した。
主将として初の代表シーズンが終わった。「充実していて、勉強になったことが多かった。(行動や言動などによって)キャプテンのようなチームになっていくと感じた。どれだけ情熱をもって表現できるかが、チームカラーになる」と石川。24年パリ五輪まではあと3年で、視線は切り替えている。アジア選手権決勝後、主将はチームに「それぞれのリーグ、シーズンで成長してこよう」と声を掛けた。
絶対的エースとして、日の丸を背負う主将として見た景色――。主将は五輪での敗戦直後、目を赤くして相手コートを見つめていた。「今でも悔しい気持ちが残っている」と、確かにあの景色が目に焼き付いている。この思いは来年の世界選手権、そして3年後のパリ五輪へ。さらに進化した“石川カラー”の龍神ニッポンが見たい。(記者コラム・滝本 雄大)
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