【箱根駅伝の裏側】青学大歴史的6度目Vの秘密は「厚底シューズ対策の筋トレ」にあり

2022年01月03日 17:15

駅伝

【箱根駅伝の裏側】青学大歴史的6度目Vの秘密は「厚底シューズ対策の筋トレ」にあり
<第98回箱根駅伝・復路ゴール>優勝のゴールテープを切った青学大10区・中倉(背中)を出迎える原監督(右)と選手たち(撮影・尾崎 有希) Photo By スポニチ
 青学大復活の鍵となったのが今季から新たに取り入れた下肢トレーニングだ。14年からフィジカルコーチを務める中野ジェームズ修一氏(50)が股関節周りに故障が続出する「厚底シューズ対策」としてアウターマッスルを鍛えるメニューを考案。過去に体幹などを鍛えることで話題となった「青トレ」の令和版で故障予防と同時にスピード力も強化。レース同様、果敢なチャレンジが6度目Vの原動力となった。
 「厚底に対する準備が足りない」。かつて体幹トレーニングや動的ストレッチなど革新的な手法を用いた「青トレ」で常勝軍団の礎を築いた中野氏がこぼした。ここ数年、シューズの進化による高速化が著しい一方、体が追いつかずにけがをする選手が続出。「厚底用にメニューを変えないといけない」と課題解決に取りかかった。

 反発が大きい厚底シューズによる着地は想像以上に選手にダメージを与えていた。特に岸本大紀(3年)は2年時に右股関節を疲労骨折するなど厚底の影響を最も受けた。「昔は体幹で何とかなったが、衝撃を吸収するにはアウターマッスルも必要」と、米国のトレーナー仲間のアドバイスも参考に“新・青トレ”を考案した。

 主にバーベルを使って、15~20回のスクワットで衝撃を吸収するための大腿(だいたい)四頭筋や大臀筋を独自のレシピで鍛えあげた。きつい練習を乗り切るために、筋肉量のデータをランキング化するなど遊び心も加えると競うように打ち込んだ。筋肉量も増えたことでスピードアップにも成功。「今まではエコカーのような省エネ走法。今は運転は荒いがアクセルを踏んだり弱めたりできる。ドライブに力強さが出ています」と笑う。

 原監督の妻で寮母の美穂さんのアドバイスも生きた。中野氏はバーベル機器を寮内の一室に置こうとしたが、美穂さんは「トレーニングする姿を見せることで刺激を与えよう」と考え、食堂の前に置こうと提案。「選手たちのモチベーションが上がった。奥さんならではの助言でした」と中野氏は振り返る。

 2年ぶりのV奪回で青トレ2・0の方向性が正しいことは確認できたが、ここで止まるわけではない。「新しい取り組みでここまで来られたら満足だが、まだ鍛えたい筋肉もある。もうちょっと上のレベルに行けますよ」。中野氏と青学大チームの挑戦はとどまることを知らない。

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