黒田“消える魔球”にメジャー感嘆
2008年02月19日 06:00
野球
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黒田の44球は驚きの連続だった。見守った捕手たちが身ぶり手ぶりで変化の大きさを表現する。特に計9球投じられたフォークに対する反応は大きかった。球を受けたベネットは「スピードがあって手前に来て急に落ちる。The ball disappears(球が消える)」と感嘆の声を上げた。
もちろん、ボールが消えるわけではない。メジャーリーガーたちが星飛雄馬の“消える魔球”を知っているはずもないが、まるで劇画のように鋭くて、大きな変化は衝撃を与えるのに十分だった。
黒田が用意していた“大リーグボール”はほかにもあった。日本ではほとんど投げていなかったカットボールだ。広島時代も速いスライダーは使っていたが「こっちはボールを動かすというのが基本。日本にない感覚ですけど、勉強しながら自分のものにしていければ」と、小さな変化でバットのシンを外す新兵器に本格的に取り組むことになった。
メジャー13年目のベネットも「(右打者の)外側に逃げるカッターはバットが出やすいしストライクとコールされやすい」と有効性を認める。ストライクゾーンが外に広いメジャー。カットボールでカウントを稼ぐことができれば、15日の初ブルペンで絶賛されたシュートの威力も増す。直球、スライダー、フォークとの組み合わせで“縦横無尽”の投球が可能となる。
デビュー戦の舞台も決まった。ハニカット投手コーチは「29日に敵地のブレーブス戦で2回を投げる」と明言。22、24日にフリー打撃に登板後、中4日で初の実戦登板を迎える。ブ軍のホームゲームとなるため、99年リーグMVPのジョーンズや、4年連続30本塁打、100打点以上のテシェイラら主力の出場が濃厚。腕試しには格好の相手だ。
キャンプインからわずか3日で信頼を勝ち取りつつある黒田だが、「今はブルペンの段階なので。ゲームで打者と対戦してみないと分からない部分がたくさんある」と慎重な姿勢は崩さない。投球の間には通訳を介してベネットと会話し「これまで打者にどう攻めてきたかと伝えた」という。打者の反応、審判の判定、ファンの声援…。未体験のメジャーに挑む準備は着々と進んでいる。
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