来年阪神・淡路大震災から20年…福留 恩返しV誓う
2014年12月15日 05:30
野球
「こうやって石巻に来て、何とか復興支援ができたらいいと思っているし、震災を風化させないようにしたい。これ(野球教室)ができるのが一番いいよね」
野球教室では身ぶり手ぶりでスイング指導を施し、自身が直接フリー打撃でお手本を見せる場面もあった。参加者と「グラウンド1周」を賭けた本塁打競争では、両翼92メートルをものともせず、しっかり左翼芝にスタンドインさせて“貫禄”を披露し、児童たちとはしゃいだ。
震災の影響で、引っ越しや転校を余儀なくされる子が多く、市内の小学校は閉校、廃校が続いている。「こっちに残っている人にとって、楽天というチームもあるけど、僕も少しでも力になれれば」。シーズン中に宮城県を訪れるのは交流戦時のみ。この日出会えた奇跡に福留も感慨深げな表情を見せ、来季へ向け新たな決意も立てた。
阪神・淡路大震災からまもなく20年。優勝して、神戸に、大阪に、関西全体に光を灯したい―。
発生時はPL学園(大阪)の2年生だった。「何もできなかったし、むしろ何かをしてもらう方だった。今はプロになって、少しでも恩返しができる立場。それは僕らにとってすごく幸せなこと」。出場が有力だった選抜も「開催できるかどうか、どっちなんだろうという状態だった」と回想する。3月。野球ができることに感謝の思いを抱きながら、甲子園球場を全力で駆け回った。今、あらためて語る。「勝つこともそうだけど、一生懸命やっている姿を見せられるのが一番いい」。17歳の春から変わらぬ信念を来季、今まで以上に見せつける。
史上最年長となる38歳シーズンでの首位打者、右翼での全試合出場など、胸に秘めたる目標は多々ある。それでも一つ、絶対に揺るがないのは「恩返し」の思い。20年が経とうとする今でも、心に傷を持ったままの人は数え切れない。猛虎の勝利が、そんな人たちのほんの少しでも力になればいい。石巻での誓いを、福留が必ず実現する。
▽福留の95年センバツ 3年春にPL学園(大阪)の主砲として出場。開幕日の1回戦で、自身と共に注目されたスラッガー・沢井を擁する銚子商(千葉)と対戦した。試合は銚子商が初回に沢井のソロで先制すると、3回には福留の3ランでPLが逆転。その後は乱打戦となり延長11回の末、10―7で銚子商が勝った。PLの名物ともいえるアルプススタンドの人文字には、震災直後の大会ということもあり「希望」や「元気」といったものが採用された。
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