星 恩返しプロ1勝 明大入学時は猫背もお辞儀で修正「今の自分がある」

2017年05月08日 05:30

野球

星 恩返しプロ1勝 明大入学時は猫背もお辞儀で修正「今の自分がある」
<D・ヤ>右足を高く蹴り上げる豪快なフォームでプロ初勝利を手にした星 Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   ヤクルト12―5DeNA ( 2017年5月7日    横浜 )】 侍ジャパンの4番が相手でもひるまなかった。4点差に迫られた直後の2回2死二塁。ヤクルトのドラフト2位・星は筒香に対し、1ボール1ストライクから高めのつり球を投げ込んだ。こん身の146キロで遊飛に仕留め、ピンチを脱出した。
 「真ん中に甘い球がいかないように、厳しい球を意識しつつ、大胆にという意識でいった」

 制球に苦しんで2回までに3点を失ったが、3回以降は「走者が出ても抑えればいい」と開き直った。筒香には初回こそ無死満塁で右犠飛を許したが、5回も中飛に打ち取った。5回7安打3失点と粘り、8試合目でプロ初勝利を手に入れた。

 開幕から中継ぎで1軍入りし、4月30日の巨人戦(神宮)から先発に転向した。この日最速は150キロ。明大時代に156キロをマークした右腕は「気持ちで負けないように向かっていくことだけを考えた。チームを勝たせられたことが一番良かった」と笑った。

 栃木県那珂川町出身。人口約1万7000人の小さな町で、北部に位置する小砂地区は「日本で最も美しい村」連合に加盟し、那珂川はアユ釣りのメッカだ。そんな町から初めてのプロ野球選手として、星と日本ハムのドラフト2位・石井一が同時に誕生。ドラフト後にはケーブルテレビの音声告知と屋外拡声器で町民全体で祝福し、星も「(プロ入りが)決まった際には防災無線まで流してくれ た」と驚くほどの盛り上がりだった。

 一番の恩人は明大の善波達也監督だ。入学時、猫背だった星は監督から「姿勢を良くしろ」と言われ続け、背筋を伸ばすために指揮官と毎日2人で向き合い、姿勢を正してお辞儀をした。「今の自分があるのは善波監督のおかげ」。この日の白星は、恩師へ贈る恩返しの1勝だった。

 チームの連敗を4で止めたルーキーに、お隣の大田原市出身の真中監督も「一つ勝てて良かった」と称えながら、「もう一つギアを上げてもらえれば」と注文をつけた。星も満足していない。「投球内容はあまり良くなかった。次に向けてしっかり切り替えたい」。チームの未来を照らす23歳は表情を引き締めた。 (原田 真奈子)

 ▼DeNA・筒香(星について)若いのにいいピッチャーですね。

 ▼ヤクルト・伊藤投手コーチ 直球が速いという物凄い武器がある。変化球など課題は多いが、うちのチームは1軍の試合の中で(課題の修正を)試せる。

 ◆星 知弥(ほし・ともや)1994年(平6)4月15日、栃木県生まれの23歳。小4で野球を始め、宇都宮工では2年秋からエース。明大では1年秋から登板。4年時の明治神宮大会決勝では勝利投手&本塁打で優勝に貢献。大学では柳(中日)、佐野(DeNA)、中道(オリックス育成)と同僚だった。甲子園出場はなし。16年ドラフト2位でヤクルト入団。1メートル83、78キロ。右投げ右打ち。

 ◆那珂川町(なかがわまち) 栃木県の東北東に位置する。05年10月1日に那須郡馬頭町と同郡小川町が合併し誕生。人口は1万7040人(5月1日現在)。町の中央には関東有数の清流でアユ釣りが有名な「那珂川」が流れる。福島泰夫町長(66)。

おすすめテーマ

2017年05月08日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム