中日・根尾 五感全て使いプロ初安打「全員に感謝したい」 記念球は心配かけた両親へ

2020年08月12日 05:30

野球

中日・根尾 五感全て使いプロ初安打「全員に感謝したい」 記念球は心配かけた両親へ
<広・中(11)>9回無死一塁、右前にプロ初安打を放った根尾は英智コーチ(左)とグータッチ (撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   中日8-1広島 ( 2020年8月11日    マツダ )】 心を無にして、バットを振った。雑念が入らない初球。中日・根尾は五感全てを使い、チェンジアップをとらえた。苦しんだ日々がうそのように、打球は一、二塁間を抜けていく。9回無死一塁に訪れた待望の瞬間。プロ17打席目にして、初めて自分の力で立った一塁ベースで、やっと実感がこみ上げた。
 「ドラゴンズに入ってから、たくさんの人にお世話になりました。全員に感謝したいです」

 広報を通じて残した談話に、人柄をにじませる。5試合ぶりのスタメン。開幕から46試合フル出場のベテラン大島に休養を与えるため、打順も、守備位置も初体験の「2番・中堅」に入った。無死一塁の初回第1打席は空振り三振。ストレートに差し込まれ、変化球にまるでタイミングが合わない打席が続く。二ゴロ、二ゴロ、三振…。ただ、結果が出なくても、20歳は好球必打を貫いた。8回の猛攻で訪れた“ラストチャンス”。それが巡る星の強さも、それを生かす実力も、根尾は確かに兼ね備えていた。

 2年前のドラフト1位。1年目は負傷で出遅れ、勝負の2年目は1年後輩の石川昂にプロ初安打の先を越された。4日に1軍へ昇格しても、18年春夏の甲子園を制し、球児の頂点を極めた男が、たった1本の安打すら打てない。押し寄せる焦りと不安…。自分に勝ち、プロとして第一歩を踏み出した時、脳裏に2人の顔が浮かんだ。

 「初ヒットのボールを両親に渡すつもりです。ホテルに帰ったら、まずは両親に電話したい」

 誰よりも心配をかけた父・浩さん、母・実喜子さんへ。希代の孝行息子は明日の竜も担う。 (堀田 和昭)

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