【新春対談 金本前監督―阪神・大山(2)】虎打線の軸に「もうチーム内で競争している立場ではない」
2021年01月02日 11:00
野球
大山 もちろん、あります。昨年の数字より、それ以上というのは。最低限出さないといけないと思っています。数字を出すのは好きじゃないですが、できる限りよくしたいと思っています。
――金本氏にお聞きします。去年は4番で成績を残しましたが、思い描いているのは、まだまだこんな成績ではない。
金本 もちろん、もちろん。自分の残した数字は超えてほしいし。自分のキャリアハイはね。当たりの強さというか、少々詰まっても運べるというか。野球は“下半身で打て”というが絶対違う。打つのは上半身。下半身は使い方であって。アメリカ人が良い例。足が細くて、上半身だけゴッツい選手がおるけど、下半身の使い方がある程度うまければ押し込んでもっていく。スイングスピードもあるしね。そういう上半身の強さというか、少々先でもリストで運べるとか、上体が泳いでも腕の力だけで合わせて持って行けるとか、高めをかぶせて打てるとか、そういう力がもっとないと。まだ体格負けをしている。岡本(巨人)とか、浅村(楽天)、鈴木誠(広島)、中田翔(日本ハム)…。体格とスイングスピードと比べると、まだまだかな、と。
――とはいえセ・リーグ他球団の4番と競っても、もう阪神の顔というところには来た。
金本 まだ!1年目じゃもん。岡本は3、4年やってるやろ、村上も2年か。阪神のマスコミはすぐ認めるから、あぐらをかいてしまう(笑い)。そういうところを締める役割というか、おだてられに注意。他の球団ではなかなか取り上げられない。
――チーム内競争について。
大山 競争はもちろんありますが、もうチーム内で競争している立場ではない。他チームの選手と争っていかないといけない。違う意味の競争というか、そこは強く持って行きたい。
――今後は他球団の主砲と、タイトル争いも含めた競争をしていくことになる。
金本 それよりは、さっきも話したけど、どこで打つかが一番。監督してても、現役のときも、そこしかこだわっていなかったから。その結果、タイトルを獲れればベストだけど。ただ、なかなかチャンスはないので、獲れる時に獲っておかないといけない。実は現役の時はあまり興味がなかったんよ。現役終わると“あの時に気を抜かずにもう少し頑張っておけば良かった”と思うもの。10―0で勝ってる試合だったら最終打席とかに、もう少し打っておけば…とかね。そういう場面で投げてるピッチャーはランクが低いわけだから。負けてる場面は“少しでもファンを喜ばせよう”というのがあったけど。繰り返しになるけど、競争というよりは、とにかくチームに貢献する、良い場面で打つ。その結果、数字も残る、と。
――タイトル争いはプラスになったか(※9)。
大山 その試合をどうするかで必死でした。こういう経験が他にもあれば別なんでしょうけど、初めてのことでしたし。去年は開幕戦に出てなかったので、そういうチャンスを手放さないことの方に必死でしたから。そういう意味では今年につながる良いシーズンだったと思う。(1月3日に続く)
※9 岡本(巨)と本塁打王を争い、3本差の28本で村上(ヤ)と2位。